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日本学術会議新春緊急学術フォーラム「少子化・国際化の中の大学改革」に参加してきました。

http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/222-s-0107.pdf

少子化、国際化、理科離れ、実践的教育の重視論等、わが国の高等教育をめぐって種々の環境変化や動きが顕在化している。一方で、高等教育は人材育成の最終過程であるとともに、大学において行われる研究活動を通じて、産業・社会の革新がもたらされる。時代の展開において、わが国の大学は何処に向かって舵をとるべきかを、大学人、政治・行政、経済界、メディアを代表する識者による問題提起と討論によって探る。

 日本学術会議のフォーラムに参加してきました。告知期間が短かったにも関わらず、会場には目測で200名以上が参加し、だいぶ盛会な印象を受けました。会場には文部科学省関係者も来ていたようですね。

 以下に、フォーラムでの発言を記します。なお、あくまで私が理解できた部分を一部のみ掲載していることに留意ください。

開催挨拶・趣旨説明(大西 日本学術会議会長)

  • 日本の18歳人口は右肩下がりで推移しており、2060年には63万人になる。一方、世界の状況として、18歳人口は今後ほぼ横ばいになる予想があり、18歳人口は安定的で数が多い。世界の18歳人口は日本の人口程度であり、その意味では日本の大学は広島市のみを相手にしているのと同じ。世界の留学生は400万人程度であり、世界に目を開くことが大切である。
  • 日本の大学が置かれている状況は厳しい。国立大学に対する運営費交付金を減少させよという声もある。また、私立大学に対する国の補助は運営費全体の10%程度であり、50%という目標から乖離している。OECD諸国で比較すると、高等教育への公財政支出は日本は低い状況にある。
  • 日本の大学をいかに世界に開いていくのかというのは、今後の大学をめぐる大きな論点である。

講演:里見進(国立大学協会会長、東北大学総長)

  • 国立大学は高度な高等教育を日本各地に届けるという役割がある。修士課程、博士課程と進むにつれ、国立大学の学生割合が増加している。また、都市部以外における国立大学の果たす役割は大きくなっている。
  • 研究力の維持も国立大学の役割の一つである。ノーベル賞受賞者も国立大学の出身者が多く、最近では地方国立大学の出身者も受賞している。地方における教育研究の良い循環が見られる。ただ、ノーベル賞は2,30年前の業績を対象としていることに注意が必要であり、大学ランキングの中には順位が低下傾向にあるものもある。つまり研究力は低下しつつある可能性がある。海外からの学生の受入は国立大学の大学院において果たす役割が大きく、研究者の交流も国立大学の比率が大きい。
  • 運営費交付金は減少傾向にあり、このまま減額が続くと人件費が賄えなくなる。現状でも、勤や若手の教員が減少傾向にある。大学院進学者も減少している。これは若手の意欲を削ぎ、日本の研究力を大幅に低下させる可能性がある。
  • TOPシェアの論文数が減少しており、難しい課題や時間がかかりそうな研究よりも短期的に結果が出る研究へシフトしているというアンケート結果がある。他国は支援金額を増加させているが、日本はそうではない。附属病院についても、診療時間が増え研究時間が減少し、論文数が減少傾向にある。
  • 日本は教育にかける家計の負担が大きく、このまま国家予算の支援が少なくなれば、学費を上げざるをえない状況にある。国公私立大学の代表が集い文部科学大臣及び財務大臣へ陳情に伺ったことも影響してか、平成28年度予算では国立大学運営費交付金は前年度と同額という結果になった。
  • 国立大学では、新たな学部設置や教育プログラム創出、COC+事業、COI事業など、各大学で様々な改革に取り組んでいる。今後とも国立大学は多様な役割を果たしていく。国公私立大学は違いを乗り越えてインフラを共有するとともに、国家として高等教育のグランドデザインを策定することが大切。

講演:永田恭介(国立大学協会副会長、筑波大学学長)

  • 国立大学協会は国立大学の将来ビジョン・アクションプランを策定し、第3期中期目標期間中は多様な入学者受入と大学間の協働を進めていく方向性を示した。
  • 18歳人口は減少するが将来の知的基盤を支える人材は必要であり、社会人の学び直しや海外の学生受入などが考えられる。たとえば、筑波大学では、省庁を超えた機関連携や企業の参画により、産官学のプラットフォーラムを形成している。とびたてJAPANの研究版とも言えるような取組も構想している。
  • 海外の大学との付き合いも継続してやっていかなければならないが、事務処理など様々に困難なことが発生している。これを緩和するため、国大協が間に入って、海外諸機関との交流を進め、シンポジウムや海外研修を大学共同で実施している。特に、ベトナムと連携した大学院大学の設置を進め、9月に開校する予定である。また、マレーシアとも同様の枠組みで連携を進めている。JANETやJAANなど、国内の大学が協力して海外の大学と交流する事業も進めている。
  • これまでの国際協力支援は個人がきっかけとなっていたが、新たなスキームとして産業界や相手国と関係を持つ大学などをつなぐコンソーシアムを形成し連携を進めていくことを考えている。概算要求でも官民協働プラットフォームとして提案し予算がついた。
  • 皆で高等教育のグランドデザインを考えることを提案しており、今後はそれに取り組んでいきたい。中教審大学分科会では個別の案件を審議しているが、グランドデザインの検討は現在明確に取り組まれているわけではない。学校教育法制定以降、社会の趨勢に合わせ、中教審は様々な役割を果たしてきた。H10の大学審議会答申には、開かれた大学運営や大学の責任、大学は未来への先行投資であること、高等教育支出の増加などが触れられている。ただ、大きく高等教育を方向付けるものはこれ以降出ていないと考えている。次世代、次次世代を考えた高等教育の将来像やプランを作っていかなければならない。

講演:須藤亮(産業競争力懇談会実行委員長)

  • 経団連では、イノベーションとグローバリゼーションが日本再生への大きな鍵であるとしている。このため、IoTやAI、ロボットなどを中心とした新たな基幹産業を育成しなければならない。第5期科学技術基本計画では新しい未来という言葉があるが、それを作るためにWhatを共有した上でHowとしての大学との連携が必要だと考える。産学官の連携強化として、オープンイノベーションの推進や研究費支援の改革などが必要だと考える。サイバーとフィジカルな技術の組み合わせにより価値を創造していく。
  • 大学改革は実現されつつある事項もある。今後の期待として、資金配分の競争的部分の増加や基礎研究・応用研究・実用化研究が一体となったオープンイノベーションの推進などがある。社会実装には、技術者のみではなく、人文社会科学系などの知見が必要である。また、共同研究の大型化も鍵である。そのためには、大学から企業へのプロジェクト提案や大学本部の契約事務能力の向上などが課題である。
  • 人材育成について、理工系人材の減少や女性比率の少なさ、企業と大学とのミスマッチは課題である。機械電気系の企業では、就職後再度講義を行っていることが多い。企業に入ると忘れていることも多く、大学側でカリキュラムを検討した方が良い。基礎応用実装をプロジェクトとして進展できる人材がイノベーションに必要である。
  • 企業側も研究開発に対する挑戦やSIPなど国家プロジェクトへの参入、異業種間連携なども進めていく必要がある。大学の現状や変化に対する理解を求めていく。産業界に対してもアピールしてほしい。

講演:帯野久美子(インターアクト・ジャパン代表取締役

  • 和歌山大学で理事・副学長を務めていた。経済界で最大の問題は経済界から大学が見えないことである。経営者は大学のことを知らない。個々の大学教育のメニューも外部から調べてもわからない。大学の情報公開は文部科学省のために出しており、社会や企業のニーズが分からずにいると考える。ただ、社会や企業のニーズも変化する点には注意が必要である。
  • 日本の産業界は競争力が失われており、留学生の採用を進めることでグローバル化を進めてきた。産業界を取り巻く環境は激変しており、大学も産業界の二ーズを考え時にともに今後の展開を考える必要がある。ベトナムの大学も企業のニーズがわからず悩んでいる。
  • 国際的な活動をしている日本の団体は日本人ばかりのことが多く、現地の価値観にうまく適応できない場合もある。今後は多様性が重要である。大学は多様な社会を構成している場である。ただ、国立大学の女性学長は3名であり、運営上は多様性が少ない。これで多様な教育ができるのか。
  • 今の大学で一つのことを変えるということは、大学全体や大学文化を変えなければならないほど大仕事である。大学に非常勤を増やし現役の経済人を大学の経営に携わらせてはどうか。今の給与システムでは難しいところもあるが、企業が持ち出しをしても大学に人を送り込むこともできる。多様であることは強くなることであるという意識が必要。

講演:鈴木寛文部科学大臣補佐官)

  • 文部科学省は高大接続一体改革を進めている。PISAの調査によれば、日本の初等中等教育は質が高い。その教育を受けた者を高校大学でしっかりと教育できているのかということである。どのような若者を育てれば良いのかはOECDも悩んでおり、思考力判断力表現力に加え主体性多様性協調性が重要であるという方向にシフトしている。また、メタ認知の重要性も提唱されている。OECDでは、協働して問題を解決する力を持っているのかということも新たに調査を始めている。高等学校学習指導要領の改訂では、アクティブラーニングや公共科目などへの対応を進めていく予定である。大学においても3ポリシーにまつわる改革などを進め質保証を示していく方針である。
  • 戦後の教育は総じて大量生産大量消費社会を支える人材を育成してきた。今、技術の進歩を踏まえ、Creative Collaborative Art Workerや人工知能では対応できない問題を解決する人材を育成しなければならない。社会の要請とは何なのかということを熟議する必要がある。今の社会の要請ではなく、混迷の度合いや不確実性が加速していく中で、問題が困難化していく社会で大学が果たす役割を考えて欲しい。市民の育成する中では教養が大切である。
  • 群馬大学の片田教授の防災教育では、1想定にとらわれることなく対処せよ2どんな時でもベストを、最善を尽くせ3率先して引率者になれというものがあるが、教育を設計する上でも応用できることである。
  • 理系教育と文系教育という軸で再度問題を整理することが必要ではないか。理系教育に対する投資の成果もあり理系教育はある程度の水準まで到達していると考えるが、文系教育については検討と改革が必要ではないか。文系教育は90年代当初までは企業から人材育成を期待されていなかったと思うが、その状況は変化している。特にST比の改善は急務でああり、文系は国際水準に到達していない。産学間の人材イメージもなかなか共有できていない。投資の絶対的不足が長期化している。
  • いかにして高等教育予算を減らされずにすむかということを日々考えているが、未だに「大学が多すぎる」という話がある。まずは同僚・隣人に知ってもらうところから始めないといけない。大学人も「研究が役に立たない」と言うのはやめてほしい。研究の方法論は世の中の役に立っている。文科省の中の状況も変わっており、時代錯誤的権威主義者はもはやおらず、財務省に予算を減らされないように大学の代弁者になっている。
  • 市民のための教育、市民のための振興に誰が投資をするのかという問題は議論しないといけない。どう公的資金を守り民間資金を獲得するのかということが考えていきたい。改善の実績を世の中へ発信し、大学への投資がいかに世の中のためになるのかということの理解を進めていかなければならない。日本で普通の家庭の子女が高等教育へのアクセスする機会を失うということの危機感をどのように社会に理解してもらうかということが大切。
  • Q:カリキュラムデザインは重要である。起業に向けた教育はどのように考えているのか。
  • A:社会と連携した教育は増えているが、それにはとてもコストがかかる。受講したい学生はたくさんいるが、受け皿が十分ではない。トータルの人件費をどのように確保していくのかは熟議が必要。
  • Q:大学入試について答案を電子データとして受け取るような取組はありうるのか。
  • A:基礎学力テストはCBTで行いたい。その状況も見ながら、大学入学希望者学力評価テストも段階的にCBT導入を進めていきたい。
  • Q:ST比の改善をするためには授業を上げないと対応できないのではないか。国立と私立の格差も大きい。
  • A:若者一人育てるためには500万円かかるという認識を世の中でシェアすることが必要。原資は税金か社会からの貢献か個人負担しかない。わが国はこれまでサービス残業や奉仕の精神を持って何とかしのいできたが、それは持続可能なものではない。アメリカは税金、社会からの貢献、個人負担の比率が1:1:1程度だが、日本がバランスが悪い。特に社会からの貢献が少なく、人材育成の意義を社会に理解してもらうところから始めていかないといけない。
  • Q:企業の人材育成能力をどのように考えれば良いか。
  • A:大学と企業の両者相まって人材育成をしなければならない。

講演:柳澤秀夫NHK解説主幹)

  • 大学改革を進めていく上では、学生が何を考えているのかという点も考えていかなければならない。今の学生は入学後すぐ就職のことを考えなければならず、かわいそうに感じる。世の中は変わってきており社会のニーズに応える必要があることはわかるが、大学がそのニーズに応えるだけの場になってはならない。採用時点で見てもわからないこともあり、可能性を内包している者が組織を動かすこともある。寛容性や幅広い視点で学生を見ていかなければならない。

講演:清家篤(日本私立大学連合会会長、慶應義塾長)

  • 大学を取り巻くステークホルダーはたくさんいるが、学生が一番大切なステークホルダーである。大学が産業界の要請に応える必要があるというのも、学生の多くが産業界に進むためだと考える。私立大学は建学の理念があるが、建学の理念が実現できない大学は潰れた方が良い。
  • ハーバード大学学長だったジェームズ・コナントは、学問の進歩・教養教育・専門教育・健全な学生生活の4つが大学で大切なことであり、どれもが無視されても圧倒的になってもならずバランスが大切だと説いている。併せて、過度にどれかが強調される危険性に警鐘を鳴らしている。
  • 大学とは学生の将来のためになる場であるとすると、4つの要素をバランス良く大学で達成することが必要である、学生は顧客ではなく、大学を卒業した後も気になる存在である。子供に母校を勧めるか、死ぬ時に母校でよかったと思ってもらえるのか。
  • 福澤は、学者は長期的に物事を考える存在であるとしている。大学においても、今のニーズに対応するのではなく、社会が変化したとしてもその変化に対応出来る素養を身につけさせることが大切である。OECDの国際成人力調査では日本はダントツのトップである。このような基盤を作るのが大学である。
  • 良き伝統を守りながら、必要な改革を行っていることになる。大学は綿々と続いてきた存在ではなく、革命ではなく改革である。蓋然性の中で良いものを選択することが良い改革になるだろう。トレードオフの関係では乱暴なことをやりがちだが、教育や国の方針決定ではそれはやってはいけないことである。様々な選択肢の中でより良いものを選択をすることが公智である。

パネルディスカッション

  • (黒田)大学の在り方が大きく変化していることに、大学の中の人が気づいていない。学生と研究者との間のミスマッチが大きくなってる。教育プログラムをしっかり作っていかなければならない。研究者の意識改革が必要である。併せて、細分化した研究活動を支援する組織が必要である。
  • (黒田)教育費が増大しており、それをどのように調達するかということが問題になっている。教育奨学のためのファンドを作って奨学金を支給してはどうか。高等教育に関するグランドデザインがないことも気になる。アメリカではCDIO(Conceive(考える)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(運用する))という考え方があり、金沢工業大学もCDIOを実現する工学教育の団体であるCDIOイニシアチブに加盟した。欧米と同様に、日本でも学位や資格の枠組みをどのように構築していくかということを考えなければならない。
  • (司会)資金配分の競争化など、経済界からの要請をどのように考えるのか?
  • (里見)一般運営費交付金を削ると大学の本来の姿を失うのではないかと危惧している。
  • (永田)社会資本を大学へ投入する風土と仕組みが欠けている。大学に欠けている部分があれば努力しなければならない。
  • (清家)資金の分配にメリハリを効かせるというのはその通りである。自然科学系は投入額とパフォーマンスの相関があり、人文社会科学系は投入額はあまりなくともパフォーマンスは出るという印象がある。予算配分権を通じてリーダーシップを発揮できるが、人事権でリーダーシップは発揮できない。企業では役職就任はご褒美かもしれないが、大学では罰のようなものである。
  • (司会)国立大学学長としてはリーダーシップやガバナンスはどう考えるか?
  • (里見)大きくは変わらないが、留保金額を配分することはできるようになった。
  • (永田)ヒトモノカネは限界だが、教育研究のガバナンスやマネジメントという点では国立大学の学長もリーダーシップを発揮できる。
  • (司会)分野を超えて大学全体として適正な資源配分をどのように行えば良いのか?
  • (永田)文系を圧迫するという形ではなく、大学総体で分野にメリハリをとって行う形になっている。総体としてパフォーマンスを上げていくことが大切である。
  • (司会)大学側のプレゼンテーションや意見をどう思うか。
  • (須藤)国立大学の運営費交付金が大変だということがわかっているが、他者と話をすると大学はもっと競争原理を導入できないかという話は出てくる。企業と大学が一緒になって議論できる場が必要であり、そのためにも今の資金配分を変えても良いのではないか。
  • (帯野)学長のガバナンスは強化されたが、次は組織自体が変わっていかなければならない。足元の一つ一つを変えていくことが大学の力を変えていくことになるのではないか。国立大学の競争的資金の配分決定などについては情報開示が必要。大学の関係者だけが今回のシンポジウムのようなことを言っても仕方なく、社会に発信していかなければならない。
  • (柳澤)大学が抱えている問題は国民に伝わっていないのではないか。学問を究める場として何に苦悩されているのか、あまり明らかになっていない。既成概念的に出来上がった大学像があるが、今の姿は伝わっていない。
  • (司会)大学で養成すべき人材像をどのように考えれば良いのか。
  • (黒田)MITでは学生が社会に出てからどうなるかということが重要だと言っている。金沢工業大学では入学した学生を死ぬまで面倒を見ると言っている。卒業生にインタビューをしており、これをしないとCDIOイニシアチブのメンバーにはなれない。単に技術者を養成する機関ではなく研究も重要であり、その中でリベラルアーツをどのように位置付けるかということが大切。
  • (清家)学生も多様でなければならず、特定の人材像だけを育成することには違和感がある。自分の頭で考えられる人間を育てれば良い。
  • (司会)企業内の人材育成についてはどう思うか?
  • (須藤)産業界と大学教育とのミスマッチが生じていると思うが、即戦力が欲しいという意味ではなく、基礎的な学力を身につけてほしいということである。長期的な観点から基礎研究をやってほしい。
  • (帯野)すぐに役立つ人材を求めるわけではなく、大学側が思っていることと企業側が思っていることはそんなに大きく違わない。しかし、時代の流れに教養教育などが対応できておらず、リベラルアーツの在り方を産業界と大学で考えていく必要がある。
  • (司会)国公私立大学の関係をどのように考えるのか?国立大学の人文社会科学系の位置付けについてはどうか?
  • (清家)学部学生の8割程度が私立大学に通っている。国立大学のみで見れば、OECD程度に高等教育財政負担がある。国立大学の授業料値上げの話にも違和感があり、すでに私立大学は国立大学よりも高い授業料で教育に取り組んでいる。機関補助ではなく個人補助にすること、研究費に共通基盤経費をつけるなど、法人に対する助成ではなく学生本人や研究者本人に助成する仕組みがありうるのではないか。
  • (里見)高等教育への支出を増やしていきたい。今の日本の家計状況では400万という話は現実的ではない。
  • (永田)理系は物が作れるが、文系はモノが言える。学問を進め社会実装を行う上では、理系も文系も関係ない。日本では学位の名称についての議論がなく、ディプロマの意味を考えていかなければならない。
  • (司会)最後に一言づつ。
  • (清家)法人に金を出すのではなく、個人に奨学金を払うようにすれば、学校間の競争も促進されるのではないか。
  • (永田)国立大学と私立大学の格差という話もあったが、資金からではなく各々の特性や機能から考えていきたい。
  • (須藤)人文系と産業界との連携はあまり進んでいない。技術者だけでは未来を作るのは無理がある。産業界も文系の教員にアプローチしていきたい。
  • (里見)国の予算編成のあり方を考え、過去への投資ではなく未来への投資を考えていかなければならにあ。
  • (黒田)日本の技術はすごいが、素人が使えないものが出てくる。文系の人が入って人間のことを考えたものづくりをしなければならに。機関補助を確保した上で奨学金を充実させてほしい。
  • (帯野)人文社会科学系から社会に対し情報発信ができていない。できていないというところから始めて、ゼロベースで考えていかなければならない。大学と同様に企業も多様であり、たくさんの企業の声を聞いて大学と考えていける場があれば良い。 

所感

  • 少子化・国際化」と銘打っていたにも関わらず少子化や国際化に関する話題がほとんど出なかったのは残念でした。一方で、国大協がいろいろと新しいことに取り組んでいることが知ることができたのは個人的に収穫でした。
  • 「大学」「社会」「産業界」など主語が大きく、「多様である」と言っておきながら一つの概念に押し込もうとしているような感じであり、大雑把すぎるような印象を受けました。場の設定自体がそのようなものであったのだろうと思いますが。。。
  • 国立私立の支援額の格差は歴史的制度的にも考えるところがあり、単純に金額の多寡だけで話せないのだろうと思いました。このあたりは不勉強ですが、国立大学の学費を単純に私立大学と同程度まで上げるという「皆不幸になりましょう」みたいな話は、感情的にイヤですね。