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国立大学の広報活動に思う 〜公式キャラクターは活躍しているのか?〜

 新年あけましておめでとうございます。本年も弊BLOGを宜しくお願い申し上げます。

 さて、最近では国立大学においても何らかの形で広報活動に力を入れる大学がほとんどだろうと思います。受験生、留学生確保というだけではなく、地域貢献という点からも国立大学の広報活動が行われているのでしょうね。公式ホームページを見ても、東京大学京都大学大阪大学名古屋大学など、ここ数年で全面刷新した大学が多いなという印象です。実際、ここ3年程度で公式ホームページをリプレースした国立大学は結構な数になるのではないでしょうか。それだけ、国立大学の広報に求められることが変化してきたのでしょう。

 国立大学法人の業務実績を評価する国立大学法人評価委員会は、毎年度、他法人の参考になる各国立大学法人の特徴的な取組を「改革推進状況」として選定し、公表しています。そこで、ここ2年間の「改革推進状況」から広報に関係する取組を抽出してみます。

平成24年度

  •  震災後の大学の状況及び除染対策状況等の震災関連情報の積極的な発信、副学長や学生による高校訪問等の戦略的な大学広報等の取組により、風評被害の影響が懸念される中で、過去5年で最多の入学志願者数を確保するなどの成果が現れている。【福島大学
  •  大学の就学環境、進学・就職、研究等の状況や、各学部・学科の教育方針に関する広報活動の一環として、3年次生の保護者を対象に「ペアレンツデー」を実施(参加者数502名) し、実施後のアンケートでは95%以上の保護者から支持を得ている。【東京農工大学
  •  社会との新たな出会いの場として設けている藝大アートプラザでは、研究室主催の企画展や大学美術館開催の展覧会と連携した展示、全学生を対象としたアートコンペ入賞者による「藝大アートプラザ大賞入賞作品展」の開催など、学生の創作活動の一端を学外に発信するなど、平成24年度の総入館者数は、約7万3,000人(対前年度比約1万5,000人増)となっている。【東京芸術大学
  •  大学の基本理念である「現実の多様な技術対象を科学の局面から捉え直し、それによって、技術体系をいっそう発展させる技術に関する科学」(技学)に関する最新の研究成果を広く全世界に発信・還元し、次世代の科学技術の発展を支える若手研究者間の人的なネットワークを強固なものにするため、オープンアクセスのオンラインジャーナル英文論文誌「Transactions on GIGAKU」を創刊している。【長岡技術科学大学
  •  平成24年度より広報センター長に学長を据えるとともに、元新聞記者で私立大学の広報室長を歴任した者を参与に採用しているほか、読み手を意識したプレスリリース、卒業生にスポットを当てた地元新聞へのシリーズ広告、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの開設等、多様なツールを駆使した情報発信に取り組んでいる【福井大学
  •  海外向けウェブマガジン「Okayama University e-Bulletin」を創刊し、ウェブサイトへの掲載や世界の研究者に向けたメール配信(約1万件)等、海外における知名度向上を図り、第1号及び第2号で配信した記事の一部がPHYS.org、Innovations Report等、多数の海外ウェブサイトに掲載されている。【岡山大学

平成25年度

  •  全国の大学に先駆けて、地震予知、地球環境問題、ナノテク、移植医療等をはじめとする 社会の関心の高い話題を取り上げ、研究成果を広く社会に発信する場として開催している「サイエンスカフェ」について、平成25年度は、「第100回スペシャル」を開催しているほか、ケーブルテレビでの放送に加え、動画配信も行っており、大学の研究成果を広く一般に発信する取組となっている。【東北大学
  •  博物館を通じた学術情報の発信の取組として、海外モバイルミュージアムを新たにフィリピン及びペルーで実施しているほか、「JPタワー学術文化総合ミュージアムインターメディアテク」において、インターメディアテク内に展示される学術標本や研究資料等を総合研究博物館の研究者が新たに読み解き、最先端の東京大学の知能に直接触れる機会を広く一般に提供するイベント「IMTカレッジ東大教室2013夏」を実施している。【東京大学
  •  国内外の知名度の向上を目指し、一橋大学の概要や研究教育内容、魅力等を効果的に発信するため、一橋大学ムックを刊行するとともに、一橋大学ムックで好評だった写真や特集記事等も使用した多言語版(英語・中国語・韓国語併記)を大学で作成することとしている。 【一橋大学
  •  他大学のウェブサイトの調査等に基づき、ウェブサイトの公表項目の見直しを検討し、教員の研究活動をわかりやすく紹介した「高校生のための研究紹介」のデータ登録率を年度当初の65.6%から92.7%へ大幅に増加させ、積極的な情報発信につなげている。【愛知教育 大学】
  •  ブランドイメージ向上及び優秀な留学生獲得のため、大学公式ホームページ上に「The Global Lectures of Gifu University(GLG)」を公開しており、英語による大学紹介動画及び特色ある研究テーマに関する担当教員の英語による4本の動画を公開し、世界に向けて発信しているほか、学生生活紹介ビデオやキャンパス内の様子がホームページ上からヴァーチャルに確認できる「岐阜大学パノラマツアー」を公開し、教育研究環境を広く社会へ向け発信する取組を行っている。【岐阜大学

 また、弊BLOGでも国立大学の広報活動について言及してきました。

 さて、そんな広報活動の中では、各国立大学はマスコットキャラクターを作成して大学をアピールしている例があります。有名所では、小樽商科大学の商大くんでしょうか。しかし、実際にどの程度の国立大学がキャラクターを設定しているのでしょうか。

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 図1に、国立大学のうち、大学公式キャラクターを持っている大学を示します。なお、各大学公式ホームページに明記されている場合に計上しましたので、各学部のキャラクターなどは除外しています。

 図1から、全体の25%程度にあたる21大学で公式キャラクターをもっていることがわかります。その中で最も最近設定されたものは、宇都宮大学の「宇〜太」でしょう。おそらく、以前弊BLOGでも取り上げたゆるキャラ募集の成果なのでしょうが、大学祭に合わせてお披露目されたようですね。宮城教育大学では、なんと10体ものキャラクターが設定されています。各キャラクターには若干の説明がありますが、使い分けがされているのでしょうか。

 図1では大学公式ホームページにて言及があるキャラクターを計上しています。それ以外にも、非公式(?)なキャラクターや各学部等で設定されたキャラクターもいます。金沢大学のシステムであるアカンサスポータルのマスコットキャラクターの「あざみちゃん」や茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究センターのキャラクター「湯苺(ゆいちご)あみ」、変わったところでは名古屋工業大学の双方向音声案内デジタルサイネージのキャラクター「メイちゃん」などが目につきました。各大学図書館では独自のキャラクターも設定されているようで、トキャラ図鑑 kumoriといった紹介サイトもありました。キャラクターをどれだけ活用していけるか、パッと思いつくのは名刺への印刷や各種グッズ・広報媒体・報告書等への明示でしょうか。着ぐるみを作って各種イベントで登場、採用説明会での説明も受けがいいかもしれません。

 いろいろ調べていて思ったのは、これらのキャラクターはどのような目的で誰に対して作成したものなのかということです。受験生確保のため受験生をターゲットとしたキャラクターなのか、地域貢献のため地域住民をターゲットとしたキャラクターなのか、目的とターゲットがなければそれに即した活動はできません。どうも、ざっくり「大学をイメージした」キャラクターであることがほとんどであり、それゆえにキャラクター作成後の展開がなかなかうまくいっていないのではないかという思いを抱いています。ゆるキャラを用いた地域おこしの事例やそれに関する研究も広く行われているようですし、キャラクターを活用した大学広報の在り方を考えてみるのもおもしろいかもしれません。