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都道府県別大学入学者数に思う 〜地元志向はほんとうなのか〜

【大学受験2014】早稲田の志願者が1割減…地元志向が影響 | リセマム

 河合塾が2014年度入試直前動向についてトピック紹介するシリーズ第5弾として私立大学の動向を発表した。河合塾が実施した全統マーク模試の結果によると、地元志向の影響を強く受け、早稲田の志願者が1割減と大きく後退している。

 前回に引き続き、平成25年度学校基本調査高等教育機関《報告書掲載集計》の表番号17「出身高校の所在地県別入学者数」などを基に、大学入学者の動向を見ていきます。なお、今回は国公私合わせた大学全体を対象とします。

 図1に、各都道府県に設置された大学への入学者数及びその中の同都道府県の高校出身者数、その割合を示します。また、図2に、同割合を地図上に明記した図を示します。

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 図1より、東京都の大学への入学者数が飛び抜けて高い(2番目に多い大阪府の約3倍であり全都道府県合計入学者数の23.7%)ことがわかります。 また、同都道府県の高校出身者割合が高い(60%程度以上)都道府県は、沖縄県(79.0%)、北海道(74.8%)、愛知県(64.0%)、静岡県(61.2%)、新潟県(60.4%)、広島県(59.0%)、であり、同割合が低い(30%以下)都道府県は、和歌山県(29.1%)、奈良県(23.0%)、京都府(21.9%)、滋賀県(19.6%)、鳥取県(18.9%)であることがわかります。

 割合が高い都道府県について、沖縄県や北海道は、前回のBLOG記事でも言及しましたが、立地的な要因が大きいと思われます。また、愛知県や静岡県についても、前回BLOG記事で紹介した東海圏の大学の地元志向に関する記事のとおりです。

(12)合理的な地元志向 : 中京って?<第2部> : 企画・連載 : 愛知 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 図3に、平成24年度学校基本調査を基にした全都道府県の設置大学数を地図上に明記した図を示します。

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 ここから、新潟県広島県については、大学がそれぞれ18校、21校設置されており、地方にしては比較的多い大学数が地元出身者高割合に影響を与えている可能性が考えられます。

 割合が低い都道府県について、最も低い鳥取県は県内に大学が2校しかなく、県内だけでは入学者のニーズを受け入れられていないためと考えられます。その他割合が低い都道府県について、元表の数値を確認すると大阪府の大学への入学者が多くなっています。同じ関西圏内で入学者を取られているのでしょう。

 前回のBLOG記事と同様に、図4に、出身高校の所在地別をもとにした大学入学者のうち他都道府県大学に入学した者の割合を示します。また、図5に、同割合を地図上に明記した図を示します。

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 図4から、他都道府県の大学に入学した者の割合が高い(80%以上)のは、和歌山県(89.5%)、鳥取県(88.1%)、奈良県(85.4%)、佐賀県(85.3%)、長野県(83.6%)、島根県(83.4%)、富山県(82.6%)、香川県(82.5%)、岐阜県(81.6%)、山形県(81.1%)、高知県(81.1%)、福島県(81.0%)、三重県(80.6%)、茨城県(80.2%)であることがわかります。また、同割合が低い(50%以下)のは、広島県(47.8%)、沖縄県(43.8%)、宮城県(42.4%)、東京都(35.7%)、福岡県(35.4%)、北海道(30.8%)、愛知県(28.0%)であることがわかります。

 図5から、同割合は都市圏以外で高いようにも見えます。おそらくこの割合は、各都道府県に設置された大学数に関連しているものと思われます。当たり前の話ですが、大学数つまり各都道府県の大学バリエーションや入学定員が増えれば、同都道府県への入学者数は増加すると考えられます。

 図6に、他都道府県の大学に入学した者の割合と各都道府県に設置された大学数との関係を示します。

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 ここから、大学設置数が増えるほど他都道府県の大学へ入学した者の割合が下がる傾向にあることがわかります。なお、右の方にある集団から外れた点は東京都のデータです。これを見ても、愛知県の他都道府県の大学への入学者割合の低さが際立ってますね。

 さて、冒頭記事中にある「地元指向」ということを考えていきたいと思います。図7に、出身高校の所在地における大学入学者のうち、特に入学者数の多い東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府京都府兵庫県、福岡県の9都府県それぞれの大学に入学した者の割合を、出身高校の所在地別に示します。

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 図7から、9都府県により、入学者割合のピークがばらけていることがわかります。つまり、9都府県の大学にはそれぞれ入学者割合が高い都道府県があり、かつそれは同一ではないと考えられます。

 図8〜図16に、図7の結果を地図上に明記した図を示します。

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 図8から、東京の大学への入学者割合の分布を見ると、西日本より東日本のほうが割合が高いことがわかります。ここから、東日本の大学入学者は、東京への入学志向が比較的高いことが考えられます。その他8府県は、概ね近隣都道府県からの入学者割合が高くなっていることがわかります。特に、愛知県及び福岡県の大学において、同県や近隣県からの入学割合が高いですね。近隣都道府県からの入学者割合が高いことを地元志向と呼ぶのならば「地元志向がある」と言えるのですが、本データは平成25年度分しかなく、経年的に増加しているのかどうかがわかりません。

 図17に、出身高校の所在地をもとにした大学入学者に占める同都道府県大学に入学した者の割合をH19からH25まで示します。

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 図17から、福井県滋賀県など若干の上下はありつつも、7年間ほぼ同様の数値であることがわかります。ここから、全国的な傾向として、各都道府県の大学へ入学する割合はここ数年変化していないと考えられます。

 冒頭記事にあったのは東京にある早稲田大学の話ですので、H15からH25までの過去11年間の各都道府県から東京の大学への入学者数を見てみます。図18に、出身高校の所在地をもとにした大学入学者に占める東京の大学に入学した者の割合をH15からH25まで示します。

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 大半の都道府県で11年間同程度の値であることがわかります。ただし、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都の割合が目立って上昇しています。

 図19に、出身高校の所在地をもとに、東京の大学への入学者数についてH15とH25を比較した増減を示します。また、図20に、H15からH25までの東京に設置されている大学数を示します。

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 図19から、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県は目立って増加していますが、それ以外の道府県は微増か微減であることがわかります。図20から、H15には116校だった大学がH25に139校と、23校増加していることがわかります。図18〜20より、H15以降、東京の大学数は増加し入学定員も増加しましたが、その入学生は近隣都道府県から供給され、その他地方からの入学者数は減少傾向にあることが考えられます。ただ、地方からの入学生から微減とは言え、それ以上に首都圏からの入学生を確保していますので、結果として東京への学生流入量は大きいものと思われます。

 図21に、H25における大学入学者の移動に係る各都道府県の増減状況を記します。

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 入学者の受入は各都道府県の大学における他都道府県からの入学者数と出身高校における同都道府県大学への入学者数の和、入学者の輩出は出身高校における他都道府県への入学者数で算出し、その差を増減数としています。図21から、東京都が突出していることがわかります。パッと見たところ、旧帝国大学が設置されている都道府県は全て増加しているという印象です。

 地元志向について、確かに近隣都道府県からの入学者割合が他都道府県からのそれよりも高い傾向にありそうです。ただ、その状況が近年増加しているものではなく、以前から変わっていないと思われます。18歳人口が減少していく中で割合が変わらなければ、実人数は減少し、状況はジリ貧になるでしょう。特に大学設置数が少ない都道府県の大学にとっては厳しい状況が続きそうです。

 いろいろ調べだした結果、まさかこんなに図を示すことになるとは思いませんでした。以下、感想です。冒頭記事は志願者数をベースにしていましたが、本BLOG記事では入学者数をベースに論を展開しています。その点で、厳密な「志向」という点には踏み込めなかったかもしれません。また、学校基本調査も都道府県毎の入学定員数の明記がなく、少し調べ足りない感じがしています。ただ、最終的には各大学の状況を確認しなければならないのですが、都道府県の状況からでも確認できたことがあったかなと思っています。