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平成26年度予算に思う 〜運営費交付金はほんとうに増加したのか〜

大学一般

平成26年度予算:文部科学省

平成26年度予算政府案 : 財務省

 文部科学省及び財務省のHPに平成26年度予算(案)が公表されています。国立大学の関係者にとっては、運営費交付金が前年度比どの程度なのかが気になるところですね。実際の数値を見てみましょう。

平成26年度 文部科学関係予算(案)主要事項

(4)国立大学改革の推進 

国立大学法人運営費交付金  

前年度予算額:1,079,186百万円

平成26年度予算額:1,112,268百万円

比較増減額:33,082百万円

(P12)

 なんと前年度比3.1%の増加です。すげー、やったーとなる人は、ちょっと待ってください。これまでさんざん削減されてきた運営費交付金が、何も大きな動きがないにも関わらず、これだけ増額されているのは明らかに不自然です。

 ここで平成25年度の予算を見てみましょう。

平成25年度予算:文部科学省

平成25年度 文部科学関係予算(案)主要事項

(1)国立大学改革の推進

国立大学法人運営費交付金

前年度予算額:1,136,612百万円

平成25年度予算額:1,079,186百万円

比較増減額:▲57,426百万円

※給与臨時特例法等の影響額(▲425億円)

(P17)

 前年度比5.1%削減されていますね。これほど大きく削減されたのは、※でも書かれているとおり、給与臨時特例法の施行によるものです。

総務省|国家公務員制度|国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律について

 平成24年2月29日、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律が議員立法によって成立しました。この法律は、昨年9月の人事院勧告に鑑み、国家公務員の給与の改定を行うとともに、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出削減が不可欠であることから、国家公務員の人件費を削減するため、国家公務員の給与について臨時の特例措置を定めたものです。 

 簡単に言うと、国家公務員の給与を一律削減しますよ、という法律です。国立大学教職員の給与も国家公務員に準拠していますので、併せて給与削減が行われ、その分の運営費交付金を削減されました。なお、同法による給与減額措置は平成26年3月31日をもって終了することが閣議決定されています。

平成25年11月15日 内閣官房長官談話 | 平成25年 | 内閣官房長官談話など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

四 東日本大震災の復興財源を確保するための臨時異例の措置として、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律に基づき講じられている国家公務員の給与減額支給措置については、同法の規定のとおり平成二十六年三月三十一日をもって終了するものとします。

 つまり、例外的に削減された平成25年度予算に比べ、平成26年度予算は増加したと見ることができます。確かに、数値の上では3.1%増加しましたが、これを以て国立大学への風向きが変わったと判断して良いのでしょうか。

 図1に、給与臨時特例法等の影響額(425億円)を含めた国立大学運営費交付金予算額の推移を示します。また、図2には、図1の推移について、より増減がわかりやすいよう縦軸を調整した折れ線グラフを示します。両図とも、縦軸の単位は百万円です。なお、運営費交付金予算額は、財務省HPで公表されている「平成26年度文教・科学技術予算のポイント 国立大学運営費交付金の推移(P41)」を採用しました。

f:id:samidaretaro:20131226182445p:plain 図1及び図2から、給与臨時特例法等の影響額(425億円)を上乗せした場合、平成16年度以降運営費交付金予算額が単調に減少していることがわかります。なお、平成26年度予算額は、平成16年度に比べ、129,302百万円(▲10.4%)減少しています。ここから、前年度比3.1%増加しているとは言え、毎年度1%程度削減されているという傾向に変化はないことがわかります。

 国立大学運営費交付金は、平成22年度まで、所謂「骨太の方針2006」に従い、対前年度比1%削減するという方針が出されてきました。

諮問会議とりまとめ資料等 平成18年 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006:内閣府 経済財政諮問会議

経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006(平成18年7月7日閣議決定)

文教

・国立大学運営費交付金について、効率化ルールを徹底し、各年度の予算額を名目値で対前年度比▲1%(年率)とする。(P43)

 また、平成23年度以降は、一般運営費交付金算定ルールに「大学改革促進係数」が設けられ、以下の割合で運営費交付金削減が図られています。

大学改革促進係数:第2期中期目標期間中に各国立大学法人における組織改編や既存事業の見直し等を通じた大学改革を促進するための係数。 

附属病院を有しない法人:1%

附属病院を有する法人:1.3%

附属病院運営費交付金の交付を受ける法人:1.6%

 つまり、第2期中期目標期間終了年度である平成27年度までは、概ね前年度比1%程度の運営費交付金削減がおこなわれるということです。

 なお、平成26年度予算の国立大学運営費交付金の内訳として、国立大学の機能強化(77億円)が計上されています。

◆国立大学の機能強化

 「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)や教育再生実行会議第三次提言「これからの大学教育等の在り方について」(平成25年5月28日)等を受けた「今後の国立大学の機 能強化に向けての考え方」(平成25年6月20日文部科学省)や「国立大学改革プラン」(平 成25年11月26日文部科学省)を踏まえ、国立大学の機能強化を推進するため、教育研究組 織の再編成や人事・給与システムの弾力化を通じて、 1世界水準の教育研究活動の飛躍的充実や2各分野における抜本的機能強化及びこれらに 伴う若手・外国人研究者の活躍の場の拡大等に取り組む大学に対して重点配分。また、年俸制の本格的な導入に積極的に取り組む大学に対しても重点配分。

1.世界水準の教育研究活動の飛躍的充実

 各大学の卓越した研究実績や国際的ネットワークを活用した海外のトップ大学からの研究者グループの招聘や海外展開など、世界水準の教育研究活動の飛躍的充実を図る大学に重点配分。(東北大学群馬大学東京大学名古屋大学京都大学、京都工芸繊維大学 ほか)

2.各分野における抜本的機能強化

 イノベーション創出のための理工系・ライフ分野や質の高い信頼される教員の養成など各分野の抜本的、構造的な機能強化を図る大学に対して重点配分。(秋田大学東京工業大学福井大学、長崎大学 ほか)

参考資料2 今後の国立大学の機能強化に向けての考え方:文部科学省

 これは一般運営費交付金の範囲外(特別運営費交付金に近い扱い?)でしょうから、各大学が狙いにいける可能性もあります。平成26年度はすでに記載された10大学で配分が決まっているのでしょうか。1.世界水準の教育研究活動の飛躍的充2.各分野における抜本的機能強化及びこれらに伴う若手・外国人研究者の活躍の場の拡大3.年俸制の本格的な導入という観点に基づく機能強化は、今後とも予算に影響を与えるでしょうし、予算が付くとなれば各大学の取組が加速する可能性は十分にあります。

 国立大学法人が毎年度国立大学法人評価委員会に提出する「業務の実績に関する報告書」も、平成25年度分から様式が変更され、「今後の国立大学の機能強化に向けての考え方」を踏まえた取組状況を記載するようになりました。正直、機能強化関係の予算の決定方法が全くわからず、若干の気持ち悪さがあります。特別経費の決定過程を踏まえると、国立大学法人支援課の担当者レベルで、実績報告書も参考にしながら徐々に決定されていくのかなと考えています。

国立大学法人評価委員会(第44回) 配付資料:文部科学省

資料2-4 平成25事業年度に係る業務の実績に関する報告書(様式例)(案)【国立大学法人

 結局、国立大学運営費交付金の削減傾向は変わらずに続き、機能強化への要請は強くなっています。国立大学にとっては、「何もしないというリスク」がますます高くなっていくのでしょう。

参考:国立大学法人運営費交付金に思う 〜なぜ定員管理をするのか〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG