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韓国の外国人教員事情に思う 〜外国人教員の定着に向けて〜

大学一般

Chosun Online | 朝鮮日報

 昨年9月にソウル大学が招聘(しょうへい)したノーベル経済学賞受賞者のトーマス・サージェント教授(70)が、当初の任用期間(2年間)を満たさず、ちょうど1年となる今年8月に米国に帰国したという。サージェント教授はソウル大学が行っている「ノーベル賞受賞者クラスの権威誘致事業」により、給与と研究費を合わせて年間6億-15億ウォン(約5900万-1億4700万円)を支給するという破格の条件で赴任していた。しかし同じ条件で1年さらに残ることができたにもかかわらず「個人的な事情」を理由に韓国を去った。

 韓国のソウル大学が招聘した著名外国人研究者が任期を満了できず退職したニュースが出ていました。関連記事もありました。

Chosun Online | 朝鮮日報

 外国人教員の定着は、日本の大学にとっても難しい問題です。先日発表された国立大学改革プランには、国際水準の教育研究の展開の一環として、外国人教員の積極採用が含まれており、国立大学にとっては頭の痛い問題です。

国立大運営費交付金を重点配分 4000億円、文科省が改革プラン :日本経済新聞

 優秀な外国人教員を積極的に採用するため、教員の給与体系も見直す。2015年度末までに教員1万人に年俸制を導入。外国人や若手研究者向けに1500人分の常勤ポストを確保するとした。

 海外の研究者に向け、日本の大学のブラックリストを作成したサイトもあります。情報は古めですが、これが広く流通しているのだとしたら、日本の大学にあまり良いイメージをもたれなさそうです。

BLACKLIST OF JAPANESE UNIVERSITIES

 日本学術振興会大学国際戦略本部事業が出した報告書には、「第7節外国人研究者等の受入れの改善」として、以下の点が具体的提言として記述されています。

大学国際戦略本部強化事業(研究環境国際化の手法開発) 大学の優れた国際展開モデルについて(中間報告書)【大学国際戦略本部強化事業(SIH)】

a. 量的・質的双方での適確なニーズ把握と日常的相互対話による課題の特定

b. ワンストップの窓口と組織的な研修・情報共有との組み合わせによる事務支援体制の強化

c. 外国人研究者向けのガイドブック・情報の整備と普及

d. 研究助成に関する情報・支援の充実

e. 外国人研究者の発信と交流の場の提供

f. 長期定住に向けた組織的受入体制の整備

 また、外国人教員は外国人労働者とも言え、厚生労働省では外国人雇用対策として様々な情報を公表しています。高度外国人材活用のための実践マニュアルの中には、以下の3つの要諦が記述されています。

外国人雇用対策 Employment Policy for Foreign Workers |厚生労働省

1.ホンネで話し合うことです。それが相互の利益を最大化します。

2.まったく新しい制度を作る必要はありません。でも、少しだけ調整が必要です。

3.社内の言語を英語にする必要はありません。 基本的に日本語で十分です。しかし、一定の配慮は必要です。

 私の近辺でも、大学を問わず、テニュア・トラックのような立場の外国人教員が他大学へ転出した話を聞きます。担当者曰く「逃げられた」とのことですが、状況を聞く限り、研究環境というよりはコミュニケーション環境が問題になっていたようです。

 どのようにすれば解決するのか、沖縄科学技術大学院大学国際教養大学国際基督教大学の例を見ながら、自大学に合った形を考えていく必要があると感じています。