京都大学の国際戦略に思う 〜リソース大量投入への期待〜

京大、英語での授業3割に 20年までに、留学生も倍増:朝日新聞デジタル

 京都大は、学部や大学院での英語による講義を、現在の5%から2020年までに全体の30%に増やす目標を掲げた。世界トップレベルの大学としての地位確立をめざす「国際戦略」の一環で、留学生の派遣・受け入れや、外国人教員の数も倍増させる計画だ。

 京都大学が、国際化を推進するために、留学生や外国人教員を増加させるニュースが出ていました。この元ネタは、京都大学の国際戦略「2x by 2020」です。

京都大学の国際戦略「2x by 2020」 | 京都大学国際交流推進機構

 主体となるのは、国際高等教育院のようですね。国際高等教育院と言えば、一時期ネット界隈を賑わしていたことを思い出します。

京都大の「国際高等教育院」構想に対する反応 - Togetter

 京都大学の全学共通科目のシラバスを見ると、ところどころ「英語講義」と書かれた科目がありますね。これらの科目は日本人教員が担当してる場合も多そうです。日本人教員が日本人学生に向かって英語で講義を行っているのは、端から見ると若干シュールなのかもしれませんが、今後大学ではそのような光景が普通になるのかもしれません。

京都大学教務情報システム

 記事中、気になったのはこちら。

 外国人教員は240人から500人に、外国人研究者は2950人から6千人に、それぞれ倍増させる方針だ。

 「教員」と「研究者」と分けています。元ネタ「2x by 2020」にあたると、「外国人研究者」には短期・長期の招聘外国人研究者を含むようですので、実質大学で雇用する外国人というわけではなさそうです。つまり、構成員の増加分は実質250人程度と考えられます。

 また、「2x by 2020」で職員に関係ありそうな言及がある箇所は以下のとおりです。

  • 職員の海外派遣等により国際的な資質を高め、一定の英語力(TOEIC800点以上)を有する職員数140名を目指す。(平成23年度49名)
  • 国際化指標に関するデータを日常的・リアルタイムに共有し企画力に結びつけていくことのできるデータ・リテラシに富む人材を備え、世界大学ランキングの結果分析と学内へのフィードバックの役割を担い、さらに改善すべき対策を検討し実施していくための組織を設置
  • 留学生対応のため、教務事務等の窓口事務の英語化を推進するとともに、入学願書提出のオンライン化、留学生入学相談等窓口の集中化及び受講登録等のKULASISの英語併記化を実施する。人事や経理等の学内の様々な事務文書の英語化を計画的に推進する。
  • 国際法務職員(海外機関との英文契約書について、規定・語彙を調整し、先方機関と契約交渉する職員(弁護士資格のある者または相当の者)。)や国際技術移転職員(海外機関へ京都大学が保有する特許等知的財産のライセンス等について交渉する職員(国際ビジネスに精通している者)。)の雇用と配置を積極的に進めるとともに、海外拠点の拡充を図り、それらの専門性の高い職員と現地スタッフとの密なるネットワークを構築し、積極的な海外技術移転を展開する。
  • 国際戦略推進体制の強化と国際関係事務組織体制の機能強化を図るため、国際化を戦略的に推進する組織の体制整備を行う。
  • 5-2.国際関係事務組織体制の整備と機能強化(1)国際関係事務組織の機能強化(2)国際関係事務処理の高度化(3)国際関係専門業務職員の組織的配置

 なかなか意欲的な計画だと思います。どのように職員を育成するのか、そのノウハウも公開しながら推進していってほしいですね。

 今回の件やURAなど、特に近年は、京都大学は新しい物事に対し最初から大量の人員等リソースを投入して取り組むという印象があります。おそらくその大半は任期付なのではないかと思いますが、経験を積んだ者が他大学へ移りノウハウを広めるという意味でも、京都大学の先行的取組は価値があると思っています。(別に、おこぼれを狙っているわけではありませんが。。。)多くの物事を一気に変えるにはいろいろ難しいこともあると思います。総長のリーダーシップの基、対話を繰り返しながら目標を達成し、是非モデルケースになってほしいです。