改革推進状況に思う 〜国立大学法人のGoodPractice集〜

国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況(平成24年度):文部科学省

 この資料は、平成 24 年度評価結果において特筆される事項、注目される事項等として取り上げた事項の うち、他法人の参考にもなるような取組について、取りまとめたものであり、全法人が一律に行わなければ ならないものではない。

 平成24年度の「国立大学法人大学共同利用機関法人の改革推進状況」(以下、「改革推進状況」)が公表されました。各国立大学法人のいろいろな取組が掲載されていますが、そもそもこの改革推進状況とは何なのでしょうか。

 国立大学法人は、国立大学法人法により、毎年度の業務実績について国立大学法人評価委員会(以下、「評価委」)により評価を受けなければならないと定められています。

国立大学法人法第35条において読み替えて準用する独立行政法人通則法(読み替え後)

(各事業年度に係る業務の実績に関する評価)

32条  国立大学法人は、文部科学省令で定めるところにより、各事業年度における業務の実績について、国立大学法人評価委員会の評価を受けなければならない。

2 前項の評価は、当該事業年度における中期計画の実施状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならない。

3 国立大学法人評価委員会は、第1項の評価を行ったときは、遅滞なく、当該国立大学法人及び政令で定める審議会(以下「審議会」という。)に対して、その評価の結果を通知しなければならない。この場合において、国立大学法人評価委員会は、必要があると認めるときは、当該国立大学法人に対し、業務運営の改善その他の勧告をすることができる。

4 国立大学法人評価委員会は、前項の規定による通知を行ったときは、遅滞なく、その通知に係る事項(同項後段の規定による勧告をした場合にあっては、その通知に係る事項及びその勧告の内容)を公表しなければならない。

5 審議会は、第3項の規定により通知された評価の結果について、必要があると認めるときは、国立大学法人評価委員会に対し、意見を述べることができる。

 評価を受けるため、評価委へ毎年度提出する報告書が「平成○○事業年度に係る業務の実績に関する報告書」です。評価委はこれを基に各法人の評価を行い、その結果を公表します。その際、他法人の参考になるような取組を改革推進状況として、併せて公表します。図示すると、以下の通りです。

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 つまり、改革推進状況は、その年度の国立大学法人等のGoodPractice集と言えます。なお、実際の取組選定は、評価委がゼロベースで行うのではなく、評価委の事務局である文部科学省が案を作成しているものと思われます。

 さて、気になるのは、どの法人がどの程度採択されているかです。平成24年度に採択数が上位だった法人は、以下のとおりです。なお、複数の法人で行われているコンソーシアム的取組は、各法人に「1」を割り当てる、所謂整数法でカウントしています。

京都大学:11

帯広畜産大学: 9

東北大学:8

岡山大学:8

北海道大学:7

東京大学: 7

 京都大学帯広畜産大学が多いのは、前述のコンソーシアムや共同利用・共同研究拠点としての取組が採用されているからと思われます。

 また、第2期中期目標期間である平成22年度からの3年間の採用取組数の上位法人は以下の通りです。

京都大学:24

東京大学:19

東北大学:19

岡山大学:18

北海道大学:16

筑波大学:15

名古屋工業大学:15

九州大学:15

 ここでも京都大学が最多法人となっています。なお、平成22年度から24年度までの3年間において、京都大学は毎年度最多法人となっています。また、3年間一度も採択されていない法人が一つだけあります。それは、国立大学法人埼玉大学です。

 ここまでデータを示してきてなんですが、採択数が多いからといって、特段の予算配分があるわけではありません。そういった意味では、採択数はあまり意味がないものです。しかし、経営陣にとっては少し気になる情報であることは間違いありません。みなさんも、改革推進状況の趣旨に沿い、他法人の取組を眺め、参考になることや自法人でも取り組めそうなことを考えてみてはどうでしょうか。改革推進状況は各法人の実績報告書から採用されていますので、気になる取組を改革推進状況で見つけた場合は、各法人の実績報告書を読んでみることをおすすめします。

平成22年度に係る業務実績の評価結果について:文部科学省

平成23年度に係る業務実績の評価結果について:文部科学省

平成24年度に係る業務実績の評価結果:文部科学省

 参考に、私が集計した過去3年間の改革推進状況の一覧表を掲載します。年度、区分、取組内容、法人名がエクセルファイルになっています。公表情報を取りまとめただけですので、著作権等は特に発生しないと考えていますが、もしご利用になる際は各個人の責任でよろしくお願いします。

http://kie.nu/1thX 

※サイトが重いかもしれません。ダウンロードされる方はのんびりお待ちください。