山口大学の新学部構想に思う

山口大が新学部構想 英語力と科学知識習得 : 山口 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

山口大は27日、2015年度に新たな学部を設置するなどの大学改革構想を発表した。新学部は、高い英語力や科学技術の知識を習得する「国際総合科学部」(仮称)で、来年末にも設置の可否が決まる見通し。大学院の研究科統合も掲げ、「理系に強い国際的な人材」を育成して他大学との差別化を目指すという。

  山口大学は、人文学部、教育学部、経済学部、理学部、医学部、工学部、農学部、共同獣医学部の8学部と10研究科からなる、比較的大規模な総合大学です。そんな中、新たな学部「国際総合科学部」(仮称)を設置する予定だそうです。

新学部の定員は1学年100人で、人文社会系の学部の定員を削減して割り当てる。

とあることから、人文学部、教育学部、経済学部の規模が縮小するという理系シフトでしょうか。国立大学は国費が投入されていることもあり、どうしても理系偏重になりがちですが、文系の扱いをどのようにしていくかは引き続き考えていかないといけないのでしょう。また、専任教員も人文学部、教育学部、経済学部から引っ張ってくるだけでは対応できないでしょうから、純増員か理系学部からの移動という形になるのでしょうか。

 学部新設の場合は、その人材養成目的や出口ニーズが重要視されます。山口大学の場合、平成23年度は学部卒業者の6割程度が就職しているようです。県内就職者数などのデータは見つけられませんでしたが、「国際総合科学」という学問分野や身につけられる能力にどの程度想定する出口(就職先)のニーズがあるのかがポイントでしょう。

 あるいはCOC事業に落選したため別の方向性を取ったとも考えられますが、COC事業結果が8月に出てこのタイミングでの新学部のプレスリリースということは、平行して検討されていたと考えた方が自然です。COC事業と「国際総合科学部」(仮称)は方向性が別のようにも思えますが、両取りを考えていたということでしょうか。それほど改革体力に自信があったということなのでしょうね。

 なんにせよ、来年度末の設置決定までに、文部科学省との盛大な意見交換が繰り返し行われることでしょう。外部資金の入らない教養系(?)組織の新設は相当大変だと思いますが、頑張ってほしいものです。