高等教育政策

大学改革を巡る話のめんどうなところ。

一時期よりも少し落ち着いたかもしれませんが、教育改革をめぐる話は常に何かしら聞くような状況です。最近ですと職業教育学校の話が新聞報道等されていましたね。 政府、ITに特化した高等教育機関 成長戦略の人材育成策 :日本経済新聞 政府の産業競争力…

人文社会科学系の再編騒ぎはどのような背景があるのか。

いつぞやに引き続き、またしても人文社会科学系の改廃について話題になっているようです。本件については、弊BLOGでも言及してきたところです。 「文学部はなぜ必要なのか?」不要論者の多い文学部について考える人々 - Togetterまとめ 教員養成・人文社会科…

国立大学の予算配分に反映する評価等(素案)に思う 〜どのような指標が示されているのか〜

国立大学法人は平成27年度に第2期中期目標期間の最終年度を迎えます。現在は、平成28年度から始まる第3期中期目標期間に向け、各法人で中期目標・中期計画の策定が進められていることと思います。併せて、文部科学省内では第3期における国立大学運営費交付金…

京都工芸繊維大学の新学科設置構想に思う 〜攻める国立大学〜

両丹日日新聞 : 公立大学検討会議、学科変更への意見相次ぐ 福知山市が設置している有識者による公立大学検討会議の第3回会合が13日、市役所で開かれた。前回に引き続き、市が成美大の校舎などを活用し、16年4月の開学を目指している市立大学の基本構想(素…

まち・ひと・しごと創生法に思う その3 〜大学は何をすべきなのか〜

前々回、前回に引き続き、創生法に関連して今後5か年の目標や施策や基本的な方向を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」について、大学に関連する部分を確認します。今回は、「(2)地方への新しいひとの流れをつくる(ウ)地方大学等の活…

まち・ひと・しごと創生法に思う その2〜KPI目標は達成されるのか〜

前回に引き続き、創生法に関連して今後5か年の目標や施策や基本的な方向を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」について、大学に関連する部分を確認します。今回は、まさに大学のことが中心に語られている「(2)地方への新しいひとの流…

まち・ひと・しごと創生法に思う 〜大学には何が求められているのか〜

昨年、まち・ひと・しごと創生法(以下、「創生法」という。)が成立し、国として人口減少、地方創生に対応する体制の整備が行われたことはまだ記憶に新しいところです。創生法は、 基本理念、国等の責務、政府が講ずべきまち・ひと・しごと創生に関する施…

地域における国立大学の役割に思う その5

(続く) 図17及び図18に、有識者調査及び自治体調査における大学院就学への対応の回答を示します。図17が有識者調査の結果、図18が自治体調査の結果です。図17から、各大学とも概ね同じ傾向であり、8割程度の有識者は原則として大学院就学を認めていないこ…

地域における国立大学の役割に思う その4

(続く) 図13に、自治体調査における大学と地域との交流の障害について地域側に問題があると回答した要因の結果を示します。各設問において、比較的ポジティブ回答の割合が高く、自治体の者としては大学よりも地域側に障害が多いと認識している可能性が示唆…

地域における国立大学の役割に思う その3

前回までの有識者調査結果の分析に引き続き、今回は自治体調査結果の分析を行います。なお、自治体調査は、各大学が設置されている県及び県内各市の中堅幹部(課長)を対象として行われました。 図9に、自治体調査における各大学の総合評価の結果を示します…

地域における国立大学の役割に思う その2

(前回から続く) 図5に、大学と地域との交流の障害について大学側に問題があると回答した要因の割合を示します。概ね各大学が同様の傾向を示し、問5「教員の研究分野・研究課題が分かりづらい・PR不足」が3大学との高いポジティブ回答割合を示しています。…

地域における国立大学の役割に思う その1

一般社団法人 国立大学協会 <What's New> 「政策研究所 研究報告書「地域における国立大学の役割に関する調査研究(Web版)」(12/12) 「政策研究所 研究報告書「地域における国立大学の役割に関する調査研究(Web版)」を公開しました。 一般社団法人国…

高度専門職の能力水準に思う 〜スペシャリストはどのように働くのか〜

前回に引き続き、「高度専門職」に関連した大学職員の職業能力について考えてみます。 当たり前ですが大学職員とは職業の1種であり、その能力開発とは所謂職業能力開発に属すると理解しています。職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)では、職業能力開…

高度専門職の検討に思う 〜いったい何が良くなるのか〜

現在、中央教育審議会大学分科会大学教育部会では、職員の資質向上等に関する取組として、高度専門職について議論されています。ここで言う高度専門職とは、 IRや入学者選抜,教務,学生支援,人事や財務,広報等各分野に精通した「高度専門職」(中央教育審議会…

薬学教育の最近の動向に思う 〜質保証の王道〜

ディシプリンに応じた教育の質保証については弊BLOGでもたびたび取り上げてきました(分野別質保証に思う 〜新たな大学評価の在り方〜、2023年問題に思う 〜医学教育の新たな地平〜)が、個人的には最近特に注目しているのは薬学教育の動向です。薬学教育が6…

50年前のアメリカ大学教育改革に思う 〜現代日本の大学事情と似ているのか〜

たまに「日本の大学制度はアメリカの大学制度よりも◯十年遅れている」といった言説を聞くことがあります。たしかに、例えばIRについては、アメリカの高等教育機関においてIR組織が設置されるようになったのは1950~60年代であり、日米間の設置趣旨の違いはと…

財政制度分科会の資料に思う 〜国立大学はどうなってしまうのか〜(後編)

(前編から続く) P30 国立大学法人運営費交付金の配分方式 ここでようやく運営費交付金の配分について言及されます。繰り返しますが、一般運営費交付金は「国立大学の教育研究を実施する上で必要となる基盤的経費」です。「必要となる経費」なので、各大学…

財政制度分科会の資料に思う 〜国立大学はどうなってしまうのか〜(前編)

財政制度分科会(平成26年10月27日開催)資料一覧 : 財務省 財務省の財政制度分科会(平成26年10月27日開催)資料の掲載されていました。ここでは国立大学法人の運営費交付金の配分方法について検討されましたが、その内容はすでに報道されています。 「国立…

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関に思う 〜大学は職業訓練を行うのか?〜

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回) 配付資料:文部科学省 1 趣旨 職業教育については,若者が自らの夢や志を考え,目的意識を持って実践的な職業能力を身に付けられるようにするとともに,産業構造の変化や技術革新…

学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会の概要 その3

(その2からの続き) 【国立大学の部】「学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会」(国立大学法人法改正の詳細について) - YouTube 学長選考の透明化について。大学改革を強力に進めていくため、大学のミッションを見据えた上で、学長を選…

学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会の概要 その2

(その1からの続き) 【国立大学の部】「学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会」(学校教育法改正の詳細について) - YouTube 今後のタイムスケジュールについて。内部規則の総点検については、12月中旬に進捗状況調査を行い、4月末に総…

学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会の概要 その1

改正学校教育法及び国立大学法人法等が成立し、平成27年4月1日の施行を待つだけとなりました。本件については、弊BLOGでも、関連する独立行政法人通則法の改正も含め、改正案の段階から言及してきたところです。 学校教育法及び国立大学法人法の改正案に思う…

学位名称の見直しに思う 〜個人的には筋が悪い話〜

学士の名称急増700種類、見直し求める報告書 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 研究者の代表機関である日本学術会議は17日、大学が卒業時に与える学位「学士」の名称について、約700種類と過度に多様化した結果、内容が不明確で国際的にも通用し…

地方の人口減少に思う 〜国立大学はどのような影響を受けるのか〜

首相、税制や社保改革の検討指示 地方創生で石破担当相に:政治:中日新聞(CHUNICHI Web) 安倍晋三首相は9日、石破茂地方創生担当相と官邸で会い、人口減少の克服と地域経済の成長に向け、税制や社会保障などの制度改革を検討するよう指示した。「地方創生に…

教員養成・人文社会科学系学部・大学院への要請に思う 〜何が問われているのか〜

国立大学法人評価委員会(第48回) 配付資料:文部科学省 国立大学法人評価委員会(第48回) 配付資料 資料2-1 「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」について(案) 先般行われた国立大学法人評価委員会の資料が一部で話題になっているよ…

地方私立大学への支援に思う 〜政策意図は何なのか〜

地方私大に補助103億円 15年度概算要求 :日本経済新聞 経営の厳しい地方の私立大学の支援を強化するため、文部科学省は26日、2015年度予算の概算要求に三大都市圏以外の私大向けの補助金として103億円を盛り込むことを決めた。地方私大の倒産を防ぎ、大学進…

大学教育再生加速プログラム選定状況に思う 〜今までと異なる選定状況〜

平成26年度「大学教育再生加速プログラム」の選定状況について:文部科学省 平成26年度「大学教育再生加速プログラム」について、日本学術振興会で運営される「大学教育再生加速プログラム委員会」において審査が行われ、選定結果を取りまとめましたのでお知…

学校教育法及び国立大学法人法の施行規則改正案に思う 〜改正の影響は少ないが。。。〜

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第88号)の成立に伴う,学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令案に関するパブ…

中央教育審議会の答申に思う 〜答申の読み方〜

大学設置基準等の改正について(諮問):文部科学省 次の事項について,理由を添えて諮問します。 大学設置基準等の改正について文部科学大臣 下村 博文(理由) 世界的なグローバル化の進展を背景に,高等教育においても,国境を越えた学生の流動性が年々拡…

研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(案)に思う 〜法令遵守とコンプライアンス〜

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ この度、文部科学省では、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」案を新たに定めることにしています。つきましては、本件に関し、行政手続法第39条などに基…