学生対応のリスクは常に存在している。

nikkan-spa.jp

そんな中、今年5月、(自称)“ミスター中央大学”として活躍していたYouTuber・ステハゲが、中央大学当局から動画での言動が問題視され、結果として謝罪動画を投稿一部の動画を削除・修正するという事件が起きた。

 今、Youtuberと大学側との関係が話題になっています。一通り動画を流し見たのですが、途中、職員が対応しているところを明らかに隠し撮り(録音)しているところがあり、これはキッツイよなーと思ってしまいました。

 ガジェットやSNSが発達し、職員が行った学生対応を録音録画し拡散することが容易になっています。学生対応する職員は常にそのリスクを意識し、誠実かつ合理的に職務にあたらなければならないと気を新たにしました。

 なお、私は学生と教員と職員がともに大学の構成員であると思っていますので、教員に対して行わないこと(態度や説明など)は学生に対しても行わないようにしています。

修学支援新制度の機関確認要件を整理する。

kakichirashi.hatenadiary.jp

 前回に引き続き、修学支援新制度について整理します。今回は、特に機関確認要件に言及します。

1.根拠法

大学等における修学の支援に関する法律 抄

第七条 次の各号に掲げる大学等の設置者は、授業料等減免を行おうとするときは、文部科学省令で定めるところにより、当該各号に定める者(以下「文部科学大臣等」という。)に対し、当該大学等が次項各号に掲げる要件を満たしていることについて確認を求めることができる。

  1. 大学及び高等専門学校(いずれも学校教育法第二条第二項に規定する国立学校又は私立学校であるものに限る。第十条第一号において同じ。)並びに国立大学法人国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。第十条第一号において同じ。)が設置する専門学校 文部科学大臣
  2. 国が設置する専門学校当 該専門学校が属する国の行政機関の長
  3. 独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下この号及び第十条第一号において同じ。)が設置する専門学校 当該独立行政法人の主務大臣(同法第六十八条に規定する主務大臣をいう。)
  4. 地方公共団体が設置する大学等 当該地方公共団体の長
  5. 公立大学法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人をいう。以下この項及び第十条第三号において同じ。)が設置する大学等 当該公立大学法人を設立する地方公共団体の長
  6. 地方独立行政法人地方独立行政法人法第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいい、公立大学法人を除く。以下この号及び第十条第四号において同じ。)が設置する専門学校 当該地方独立行政法人を設立する地方公共団体の長
  7. 専門学校(前各号に掲げるものを除く。)  当該専門学校を所管する都道府県知事

文部科学大臣等は、前項の確認(以下単に「確認」という。)を求められた場合において、当該求めに係る大学等が次に掲げる要件(第九条第一項第一号及び第十五条第一項第一号において「確認要件」という。)を満たしていると認めるときは、その確認をするものとする。

  1. 大学等の教育の実施体制に関し、大学等が社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。
  2. 大学等の経営基盤に関し、大学等がその経営を継続的かつ安定的に行うために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。
  3. 当該大学等の設置者が、第十五条第一項の規定により確認を取り消された大学等の設置者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その取消しの日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものでないこと。
  4. 当該大学等の設置者が法人である場合において、その役員のうちに、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反した者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その違反行為をした日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものがないこと。

3 文部科学大臣等は、確認をしたときは、遅滞なく、その旨をインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。

第十五条 文部科学大臣等は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該確認大学等に係る確認を取り消すことができる。

  1. 確認大学等が、確認要件を満たさなくなったとき。
  2. 確認大学等の設置者が、不正の手段により確認を受けていたとき。
  3. 前号に掲げるもののほか、確認大学等の設置者が、減免費用の支弁に関し不正な行為をしたとき。
  4. 確認大学等の設置者が、第十三条第二項の規定により報告又は帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をしたとき。
  5. 確認大学等の設置者が、第十三条第二項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
  6. 前各号に掲げる場合のほか、確認大学等の設置者が、この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。

2 第七条第三項の規定は、前項の規定による確認の取消しをしたときについて準用する。

 政省令の案は公表されていません。

2.要件確認者

 修学支援法では、授業料等減免を行う際には、大学等は要件の確認を求めることになっています。つまり、授業料等減免を行うにふさわしい要件を満たした機関であることについて確認(証明)を求める(以下、「要件確認」という。)わけです。この要件確認を行う者は、各機関により異なります。

No. 機関 確認者
1 大学(国立学校、私立学校に限る)及び高等専門学校並びに国立大学法人が設置する専門学校 文部科学大臣
2 国が設置する専門学校 当該専門学校が属する国の行政機関の長
3 独立行政法人が設置する専門学校 当該独立行政法人の主務大臣
4 地方公共団体が設置する大学等 当該地方公共団体の長
5 公立大学法人が設置する大学等 当該公立大学法人を設立する地方公共団体の長
6 地方独立行政法人公立大学法人を除く)が設置する専門学校 当該地方独立行政法人を設立する地方公共団体の長
7 上記を除く専門学校 当該専門学校を所管する都道府県知事

 ここで短期大学の名前がないことに違和感を覚える方もいると思います。おそらく、学校教育法として短期大学は”大学”の一部であるため、短期大学はNo.1(私立)又はNo.4,5(公立)に含まれるのでしょう。同じ考え方で、専門職大学及び専門職短期大学も大学に含まれると解せます。なお、大学院大学は今回の制度の対象外です。

学校教育法 抄

第八十三条の二 前条の大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とするものは、専門職大学とする。

第百三条 教育研究上特別の必要がある場合においては、第八十五条の規定にかかわらず、学部を置くことなく大学院を置くものを大学とすることができる。
第百八条 大学は、第八十三条第一項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる。

2 前項に規定する目的をその目的とする大学は、第八十七条第一項の規定にかかわらず、その修業年限を二年又は三年とする。

3 前項の大学は、短期大学と称する。

4 第二項の大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を育成することを目的とするものは、専門職短期大学とする。

大学等における修学の支援に関する法律 抄

第二条 この法律において「大学等」とは、大学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第百三条に規定する大学を除く。以下同じ。)、高等専門学校及び専門課程を置く専修学校(第七条第一項及び第十条において「専門学校」という。)をいう。

 どうでもいいですが、No.1の対象機関がA及びB並びにCという「法令の読み方」で最初に習うような形になっている点がおもしろいですね。なお、現時点では、国立大学法人が設置する専門学校は東北大学歯学部附属歯科技工士学校のみだと思います。

3.機関確認要件

 説明会資料により、機関確認要件は以下のとおり整理できます。

修学支援法第7条第2項第1号に定める要件

  1. 実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること。
  2. 法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること。
  3. 授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること。
  4. 法令に則り、貸借対照表損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を公表していること。

修学支援法第7条第2項第2号に定める要件

 次のいずれにも該当する大学等でないこと(国(国立大学法人及び独立行政法人を含む。)又は地方公共団体公立大学法人及び地方独立行政法人を含む。)が設置者である大学等を除く。)

  1. 直前の3年度のすべての収支計算書において「経常収支差額」がマイナス
  2. 直前の年度の貸借対照表において「運用資産と外部負債の差額」がマイナス
  3. 直近3年度のすべての収容定員充足率が8割未満

 以下、各要件の簡単な解説です。

1.実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること。 

 本要件について、留意点は概ね以下のとおりです。

  • 必修科目、選択科目、学部専門科目、教養科目等は問わず、学生が履修できる科目であること。
  • 実務家を招くオムニバス科目などでも該当すること。
  • シラバス上に教員の実務経験や実務経験の授業内容への活用状況などを明記すること。
  • 学問分野の特性により要件を満たすことができない場合は合理的に説明・公表できれば要件を満たすとすること。

 2019年度申請における特例措置は、以下のとおりです。

  • 2019年度に要件を満たすことができない理由と2020年度から要件を満たす方向制について説明・公表することで、要件を満たすとすること。
  • シラバスとは別の資料(一覧表等)により学生に説明している場合は、要件を満たすとすること。

 この要件については、すでに言及しているとおり、それほど困難であるとは思っていません。強いて言えば、シラバスの構成を変更する必要があるため、システム改修などが発生する可能性があることが気がかりでしょうか。

2.法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること。

 本要件について、留意点は概ね以下のとおりです。

  • 国立大学法人においては、理事の員数が3名以下の場合を除くこと。
  • 理事が置かれない場合は、学校運営に関わる組織体等に複数の外部人材が参画していること。

 2019年度申請における特例措置は、以下のとおりです。

  • 2020年4月1日までに要件を満たすことについて申請者の誓約がある場合には、要件を満たすとすること。

 この要件について、国立大学法人国立大学法人法が改正され外部理事の複数名化がすでに義務付けられていますので、気にもしていないのが正直なところです。

3.授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること。

 本要件について、留意点は概ね以下のとおりです。

  • シラバスの作成過程や作成・公表時期を申請書に明記すること。
  • シラバスにて成績評価の方法や基準を明確にしていること。
  • GPAの算出方法を定め、公表していること。
  • GPAの分布状況がわかる資料を作成していること。
  • DPを公表し適切に実施していること。
  • すべての学部等について記載を要するが、各学部等にて概ね同一の取り扱いであればその旨を申請書に明記すること。

 本要件について、2019年度申請における特例措置はありません。

 この要件については、GPAの分布に係る資料がポイントになりそうです。Q&Aでは、1学年分(原則として第1学年)のみの分布でよく、公表は必要ないとしています。

Q「客観的な指標に基づく成績の分布状況を示す資料」(添付書類) は、すべての学年について提出する必要があるのか。

A全学年分を提出する必要はなく、1学年分(原則として第1学年)のみの提出で差し支えない。(以下、略。)

 また、別Q&Aでは”学生の所属する学部等の中でどの位置にあるかを把握できるよう”とありますので、学部等ごとに作成することになると考えています。

4.法令に則り、貸借対照表損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を公表していること。 

  本要件について、留意点は概ね以下のとおりです。

  • 多くは学校教育法や同法施行規則等で公表が義務付けられている情報が対象であること。
  • インターネットの利用等により一般に公表されていることが必要であること。
  • 専門学校について特例があること。
  • 一部の項目は任意記載事項であること。

  2019年度申請における特例措置は、以下のとおりです。

  • 専門学校において、学校関係者評価の基本方式が定められていれば要件を満たすものとする。

 この要件についても、手持ちの材料でなんとなりそうなので、あまり気にしていません。記述欄や任意記載事項をどの程度まで書き込むかという点にちょっと迷う程度でしょうか。

4.機関確認申請時期

 説明会資料により、機関確認申請のスケジュールの要点は以下の通りです。

  • 2019年度の機関要件の確認手続のスケジュールについては、省令制定後、正式に申請書の受理を開始する(省令制定前までの間は、大学等からの事前相談を受け付ける)予定。申請書の提出期限は、7月中旬とする見込み。申請書の提出に関する具体的なスケジュールについては、別途、お知らせします。
  • すべての基準に適合することが確認された大学等については、2019年9月中下旬頃を目途として、確認者が公表を行う予定。
  • 確認を受けた大学等は、毎年度申請書の内容を更新し、確認者に提出することを要する。
  • なお、正式な確認申請書の受理の開始については、関係省令の施行日以後とする予定だが、2019 年度は提出期限までの期間が短くなることを踏まえ、確認申請書の受理の開始前に、準備行為として、確認を受けようとする大学等に確認申請書案の提出を求め、事前審査を実施することが望ましい。

 機関確認申請に係る申請書は、2019年は7月中旬に受け付けられる予定です。それ以前に、申請書の事前確認期間もあるようですので、まずは各大学等とも事前確認を目指して申請書案を作成していくことになるでしょう。なお、確認申請書は、各大学等のホームページ等で公表する必要があります。

確認大学等が確認を受けた年度の翌年度以降も機関要件を満たしていることを明らかにするため、確認大学等は、毎年6月末日までに確認者に対して、確認申請書の内容を更新したものを提出することを要する。確認者は、更新版確認申請書の内容について審査を行う。

 一度要件確認を行ったら終わりではなく、毎年、必要に応じて内容を更新し、申請をを行う必要があります。

 ここまで、期間確認要件を整理しました。大まかに整理したのみであり、学校種に応じて申請書が異なるなど細かい部分で違いがありますので、注意しなければなりません。

 

 次回は、個人確認要件について整理する予定です。

修学支援新制度は給付型奨学金と授業料等減免の2本立てで整理する。

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 前回、説明会の記録を記した修学支援新制度について、自分の整理も兼ねて、制度の解説等に関する記事をしばらく続けたいと思います。本日は、大まかな制度の整理です。

1.根拠法

大学等における修学の支援に関する法律 抄

第三条 大学等における修学の支援は、確認大学等に在学する学生等のうち、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものに対して行う学資支給及び授業料等減免とする。

第四条 学資支給は、学資支給金(独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律第九十四号)第十七条の二第一項に規定する学資支給金をいう。)の支給とする。

第八条 確認大学等の設置者は、当該確認大学等に在学する学生等のうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認められるものを授業料等減免対象者として認定し、当該授業料等減免対象者に対して授業料等の減免を行うものとする。

独立行政法人日本学生支援機構法 抄

第十七条の二 第十三条第一項第一号に規定する学資として支給する資金(以下「学資支給金」という。)は、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)第二条第三項に規定する確認大学等(以下この項において「確認大学等」という。)に在学する優れた学生等であって経済的理由により修学に困難があるもののうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認定された者(同法第十五条第一項の規定による同法第七条第一項の確認の取消し又は確認大学等の設置者による当該確認大 学等に係る同項の確認の辞退の際、当該確認大学等に在学してい る当該認定された者を含む。)に対して支給するものとする。

2.制度の大枠

 制度の大枠を捉える上で特に重要な条文は、大学等における修学の支援に関する法律(以下、「修学支援法」という。)第3条です。ここでは、

  1. 支援対象者:確認大学等に在学する学生等のうち、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難がある者
  2. 支援方法:学資支給及び授業料等減免

と整理できます。

 また、修学支援法第4条及び第8条並びに独立行政法人日本学生支援機構法第17条の2により、

  1. 学資支給金(給付型奨学金):独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が支給する。
  2. 授業料等減免:確認大学等が減免する。

と整理できます。

 特に今回の修学支援法及び関連省令により、今まで各大学でバラバラだった減免等基準が統一されます。この基準は、学資支給金(給付型奨学金)と授業料等減免で同一です。つまり、一方で認定を受ければもう一方も受給できる、学資支給金(給付型奨学金)と授業料等減免はセットであると理解できます。文部科学省が出したQ&Aにも、一方のみを受給することは想定されていません。

Q 給付型奨学金は申し込まず、授業料減免のみ申し込むことは可能ですか。

A 基本的に、授業料減免と給付型奨学金の支援を併せて受けていただくことを想定しています。例えば、他制度による支援を受けるために、授業料減免のみ受給したいというケースにおいても、他制度による支援がなくなるなど状況が変わった場合に円滑に対応できるよう、授業料減免と給付型奨学金をあわせて申し込んでいただくことを想定しています。

 また、各基準についても、説明会の資料で以下の4点であると説明されています。

  1. 家計の経済状況に関する要件
  2. 学業成績・学修意欲に関する要件 (採用時)※ 認定後は、適格認定の基準(資料6参照)により学業成績等を確認し、これに基づき支援の継続の可否を判定する。
  3. 国籍・在留資格に関する要件
  4. 大学等に進学するまでの期間に関する要件

 これらの基準に適合しているかの判定について、JASSOと大学とで結果を共有し、転用するとしています。実質的には、JASSOの判定により、確認大学等は授業料等免除の判定を行う場面が多くなるでしょう。

3.概念図

 以上を踏まえ、まずは制度の大枠の概念図を以下の通り整理しました。

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 このように、修学支援新制度の大枠は、まずは給付型奨学金と授業料等減免の2本立てで整理することがわかりやすいのではないかと考えています。

 次回は、機関確認について整理してみます。

 

修学支援新制度説明会(国公立大学・高専向け)に参加してきました。

www.mext.go.jp

高校生の進学先として支援措置の対象の学校となるのか、修学支援新制度における大学等高等教育機関に対する機関要件の確認が6月下旬から始まります。

申請開始に先立ち、国立大、私大や国立高専など、確認を受ける各教育機関の設置者である、国立大学法人、学校法人、国立高専機構を対象とした説明会を開催しました。併せて、公立大学や私立専門学校の要件確認を行う地方公共団体への説明会を開催しました。

  5月23日に開催された就学支援新設度に関する説明会(国公立大学高専向け)に出席してきました。会場となった文部科学省講堂は参加者で一杯であり、質疑応答により予定時間を大幅に超過し3時間半の説明会となりました。遠方の大学の方は途中で離席されていましたね。当日配付資料についても、公表されています。

高等教育の修学支援新制度説明会(令和元年5月):文部科学省

 以下に、当日の記録を記載します。なお、私が理解できた範囲でのみ記していますので、事実誤認等が含まれている可能性があり、内容を保証するものではありません。

副大臣挨拶>

  • 国立大学、公立大学、国立高等専門学校において、それぞれがわが国の高等教育の発展に重要な役割を果たしていることに感謝申し上げる。
  • 同法の成立により、生徒・学生の経済的負担の軽減を図り、少子化解消への貢献を狙っている。新制度では、給付型奨学金の確保等を行うことにより、学生が社会で自立し活躍できることを目指している。機関要件は、現在の取組を充実することで満たせると考えており、多くの大学が機関として認定されることを望んでいる。
  • 高校3年生の進路選択に資するように、9月中下旬には対象となる機関を公表したい。

文部科学省からの説明>

  • 現在政令案や省令案のパブリックコメントを実施しているところであり、本日は現時点の案について説明する。スケジュールは非常にタイトであるため、協力いただきたい。
  • 今回の趣旨は、低所得者世帯の修学に係る経済的負担を軽減し、少子化解消に貢献するものである。大学・短大・高専・専門学校が機関として、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が個人として対象になる。
  • 授業料減免について、定められた上限額まで授業料を減免し、減免に要した費用を国から各機関へ支払う形である。給付型奨学金については、現状のとおり、JASSOから支払われる。自宅か下宿か等により支援金額に違いがある。準ずる世帯にも、一定割合を乗じた金額を支給することになる。
  • 支援の対象となる個人及び機関の両方に要件を設定する。個人には、進学前の強い学びの意識や進学後の良好な学修状況を求めていく。機関においても、学問的教育と実践的教育のバランスや良好な経営状況などを求めていくことになる。
  • 現行の給付型奨学金について予約採用となっているが、今回の支援は進学後でも在学採用が可能となっている。また、在学中に家計が急変した場合でも、採用ができるようになっている。
  • 2019年度のスケジュールについて、高校生の予約対応と機関要件の確認の2つが進行していく。6月下旬には政省令を公布し、各学校に給付型奨学金に関する案内を配付する予定である。各学校で進学意欲の確認などを行い、8月上旬までにJASSOへ予約採用の申込を行う。JASSOは年内に審査を行う。
  • 機関要件の確認について、9月中下旬までには対象となる機関を公表したい。申請書の提出は6月の下旬から7月中旬としている。各大学等で作成中の申請書をメールで確認者に送信する事前相談を行う予定である。公立学校は設置者である自治体が対応することになるため、自治体に相談いただきたい。
  • 政省令の案について、説明する。まずは、政令案における授業料減免について、
  • 資料にある収入目安はモデル世帯の収入であり、政令に具体的な計算方法を示している。家族人数等により、判断基準となる世帯年収は変動する。JASSOがこれらの計算を行い、各機関と共有することになる。わかりやすくなるよう、JASSOでオンラインシミュレーターを準備していると聞いている。
  • 夜間主や通信教育についても、政令で対応を定める予定である。
  • 支援対象期間について、原則として標準修業年限の在学中であるが、過去に他大学で対象となり編入学する場合には上限年数まで延長することが可能である。
  • 入学金減免については、生涯に1回のみ対象となる。
  • 機関認定を不正な方法により得ていたことが判明し期間認定確認が取り消された場合、設置者自らが減免を行うことを明記している。
  • 給付型奨学金についても、対象となる世帯の計算方法が明記される。
  • 自宅と自宅外、設置者別において、支給される金額が異なる。
  • 支給期間も授業減免とほぼ同様である。
  • 無利子奨学金との重複支給について、給付型奨学金と授業料減免の合計が無利子奨学金より低い場合は、その差分を無利子奨学金として借りることができる。有利子奨学金については重複支給に関する定めはない。
  • 省令案について、個人要件と機関要件について定めている。
  • 個人要件について、家計の経済状況、学業成績・意欲、国籍・在留資格、修学までの期間について定めている。
  • 家計の経済状況について、収入のみではなく各家庭の資産状況も見て判断することになる。これはJASSOへの自己申告により確認する。
  • 学業要件について、まずは就業前の成績や意欲を確認する。3年生の夏に、申込時までの評定平均値が3.5以上あればそのまま申請、3.5未満であっても各高校が学習意欲を確認したうえで申請することとなる。高卒認定試験の場合は、高認試験に合格していることをもって意欲があるとしたい。
  • 大学2~4年生は前年度の成績を確認することになる。GPAの分布が上位2分の1であることを確認したうえで、そうでなければ修得単位数と学修計画書を確認することになる。海外の高校からの入学など4月すぐに手続きを開始しなければならない場合で高校の成績が確認できない場合は、入学試験の成績などで学習意欲を確認することになる。
  • 国籍・在留資格について、原則日本人が対象となっているであるが、特別在留者なども対象となる。
  • 進学期間について、高校卒業後2年間までに進学が認められた者が対象となる。また、高認試験が受けられるようになってから5年間まで、かつ 高認試験合格後2年の間に入学が認められ進学した者などが対象となる。
  • 個人要件の認定について、生徒本人からJASSOへ予約申請を行い、JASSOが要件を確認することになる。JASSOから支援区分等の結果が本人に通知され、本人はJASSOへ進学届けを提出する。その後、学生は各大学等に減免の申請を行い、大学で審査を行うことになる。
  • 資金の流れとして、国立大学は国から減免分の資金が支給される予定である。各支援区分の人数を算出し概算払いを行うことを考えており、学期中の変動は年度末に清算することを想定している。公立大学は各自治体に確認してほしい。
  • 在学中の支援要件(適格認定)について、学業成績・意欲や家計状況を確認することになる。それぞれ、年度末と年度途中で判断することになる。
  • 学業成績について、修業年限で卒業できないことが確定した場合や修得単位数が標準以下の場合、出席率が5割以下であるなど学習意欲が低いと機関が判断する場合などは支援を打ち切ることになる。また、警告を行う条件も定めており、2回連続で警告を受けたら支援を打ち切る。不正の申請があった場合や懲戒による退学、継続手続きを怠ったなどの場合も、支援を打ち切ることになる。
  • 家計条件についてはJASSOの基準と同様である。家計が持ち直し結果として支援が打ち切られた場合も今後家計が再度悪化する可能性があるため、一時的に支援を中断するという形にしたい。留学など長期の休学の場合、一時的に支援を中止し、復学後に再度支援を行うことになる。その場合、対象期間は延長されることになる。
  • 適格認定のスケジュールについて、入学後、夏に後期の減免希望申請を受け付けることになる。経済要件は夏に更新があり、JASSOがマイナンバーをもとに家計の確認を行い、大学等と結果を共有する予定である。短期大学など2年制学校や高専について、適格認定を半年後ごと行うことを考えている。後期についても、年末から年明けおいて、同様に対応することになる。ただし、後期は学業要件の適格認定のみ行うことになる。
  • 給付形奨学金と他の奨学金との供給調整について、あまり多くないケースだが、給付型奨学金の金額がゼロになる場合がある。
  • 省令案について、不正対応の手続き、家計急変時の確認方法等について、省令公布後に対応を明確にしていきたい。
  • 機関要件について、
  1. 実務経験のある教員による授業の配置
  2. 外部理事の登用
  3. シラバスや成績評価の厳格化
  4. 財務情報等の公表状況
  5. (私学のみ)経営状況

   を文科省自治体の確認を受けることになる。

  • 機関認定のスケジュールについて、説明会以降に事前相談の受付、6月下旬に省令制定、7月中旬までに申請書提出、基準適合確認後に機関名を公表することを予定している。各大学等においても申請書を公表いただきたい。
  • 要件確認は最初の1回のみとする予定であるが、毎年、申請書を更新し確認者へ提出いただきたいと考えている。まずは今年度の状況で申請書を作成してほしい。
  • 実務経験のある教員の授業科目の配置について、卒業に必要となる標準単位数の1割以上を求めている。これは設置基準上の必要単位数を指す。学生が実際に授業を受講することまで求めるものではなく、学生が希望すれば受講できるようになる環境整備を求めている。担当する授業科目に関連した実務経験が想定されるが、実務経験のある講師を招いたオムニバス科目なども該当する。
  • 全ての学部等の単位で要件を満たしている必要があるが、学問分野の特性により実践的教育がなじまない分野であれば合理的な説明を行うことで代えることができる。2020年度までに整備できる予定であれば、1割を満たしてなくともOKとする。学生が当該授業を受講できることが重要でありシラバスの中で教員の実務経験やそれを活かした授業内容であると明記することを求めるが、今年度についてはシラバスとは別の補足資料を用いて学生に対して説明していればよい。シラバスの作成ルール(作成過程や公表時期など)について、大まかに記載してほしい。
  • 外部人材理事の任命について、社会のニーズを教育に反映させるため、産業界などの人材を理事として複数名任命する必要がある。現行の国立大学法人等においても外部理事が明記されており、定義はそれと同様である。国立大学法人においては、法人法が改正されたところである。理事数3名以下の場合は外部理事1名でよい。本年度の状況を確認するが、来年度までに外部理事が採用される予定の場合は良しとする。法人化していない公立大学の場合は理事を置けないため、学校運営に関する会議体に外部者が複数名加わっていれば良い。外部理事は非常勤でも問題なく、担当する職務内容等欄も簡潔に記載してほしい。
  • 成績管理について、各授業のシラバスが作成・公表されているか、成績評価が適正な方法で行われているか、GPA等成績評価の指標を設定し分布状況を把握しているか、DPを定めて公表しているかを確認する。
  • 情報公開について、国公立大学は財務情報を公表しているとは思うが、財務諸表等が作成・公表されていることを求めている。また、教育活動の情報についても公表を求めるが、学校教育法施行規則に定める公表事項にも関連している。
  • 初年度(2019年度)のみの特例措置もいくつかあるため、確認してほしい。
  • 学部等を新設する場合、基本的には本年度の状況を申請することになるため、記載しない箇所もでてくる。次年度の申請書において、新設の学部等の状況を記載してほしい。
  • 機関要件の確認申請に関する指針を作成し申請書の作成方法等を示したので、よく確認して申請書を作成してほしい。DPについて、学部ごとに定められている場合は、対象となる学部すべてについて作成・公表してほしい。事業計画は任意記載事項となっているが、該当すれば記載してほしい。教員数等については、学校基本調査の数値を記載してほしい。標準修業年限内卒業者数などは任意記載事項である。

<質疑応答>

Q:①実務経験のある教員が担当する授業科目の配置について、申請書に全ての授業科目を記載しなければならないのか。②入学後の学修状況の確認について、各大学の裁量で決める要件もあるが、大学内で基準を策定し確認者に提出する必要があるのか。③情報公開の要件について「3つのポリシーの概要」とはなにか

A:①全ての授業を公表する必要はなく、要件以上の授業が公表されていればよい。②各大学で基準を定めていただきたいが、現時点ではそれを確認するまでは想定していない。関連する一部項目は公表事項となっている。③ポリシーの文章が長い場合は概要で良いという趣旨である。

Q:個人要件について、住民税の所得割で確認することとなっているが、現行の奨学金事務のように学校経由の事務は発生するのか。

A:引き続き検討していきたい。

Q:外部理事の任命について、国立大学法人では対象となる理事数に学長を含むのか。

A:理事の員数に学長は除く(法人法に定められた理事数が適用される)が、学長が外部人材であれば外部理事1名として計上することができる。

Q:支援打ち切り用件について、標準修得単位数はどのように考えれば良いのか。場合によっては、警告要件(修得単位数の不足等)により打ち切り要件(留年等)が発生することもある。

A:学内規程によっては、警告要件が打ち切り要件になる可能性があることは承知している。その場合、支援打ち切りとなる。

Q:①本件について大学で規程等を整備する必要があるのか。政省令の案は示してほしい。②現時点で学生に周知すべきなのか。

A:①授業料減免や成績要件などの規定は整備する必要があるかもしれない。政省令案は現在策定中である。Q&Aも参照いただきたい。②学生への広報について、文部科学大臣の文書を活用してほしい。高専の在校生にも案内する必要があると認識している。大学の在校生向けにも、移行の手続きを周知していただきたい。9月から10月に在校生向けの資料を作成し各大学に配付したいと考えている。オープンキャンパスの際に高校生にも周知いただきたい。

Q:①適格認定について、転学転入学は支援期間が延長するが、学内での転学部転学科の取り扱いはどのように対応すればよいか。②出席率について、GPAにより学習意欲をはかることは可能か。③GPAの分布は当該年度の全学生が分布対象なのか、前年度のGPA分布を用いることは可能か。

A:①転学部転学科の場合も転学転入学の場合と同様に取り扱う。②基本的には学習意欲の測定は各大学にお任せするが、GPAは他の要件に該当しており、他の要件以外のもの(課題への取り組み状況など)で対応してほしい。③GPAのタイミングは現在検討している。

Q:GPAの数値が全く同じであれば、どのように警告等を行う学生を決めればよいのか。

A:現在検討中である。

Q:支援の打ち切りに伴う返還について、返還対象となる金額や方法はどのように対応するのか。

A:現在検討中である。奨学金や授業料減免について個別の対応となることが想定され、授業料については各大学にて徴収してもらうことになる可能性がある。

Q:①入学金猶予について、複数の大学に合格していた場合の対応はどのように考えれば良いか。②.支援対象者が入学料を誤って支払ってしまった場合、どのように対応すれば良いのか。③入学金の減免手続きができなかった場合は、どのように対応すれば良いのか。

A:①入学金は1校分のみ対象となる。進学をした大学等の入学金のみ減免の対象となる。②対象者への還付方式もやむを得ないと考える。③入学金の減免手続きができなかった場合は、検討していきたい。

Q:①給付型奨学金と授業料免除がセットという考え方でよろしいか。②在学生について、本年秋頃と次年度に2回申請があるという理解でよいか。

A:①セットと考えてよいが制度的には直接結びついているわけではない。セットで進めていけるようにフォローしていきたい。②2020年4月からの支援に向け在学生への切り替えを秋ごろから進めてほしい。翌年度以降は、新規採用の手続きを進めてほしい。在学生へのフォローをお願いしたい。

Q:①芸術系教員の実務経験について、創作活動は実務経験に該当するのか。②任意記載事項は、該当するが申請書に記載しないということはあり得るのか。③支援打ち切り等は大学が公表しないといけないのか。

A:①学生に説明できるかどうかという点を考えてほしい。実践経験がいかに授業に反映できているかをシラバスに記載し、説明できるようにしてほしい。②任意事項であり、公表状況を追求するつもりはない。情報公開の趣旨に沿って対応してほしい。③個人要件の警告や打ち切りに係る公表方法は現在検討中である。

Q:①申請書について、募集停止の大学・学部等は該当するのか。②教員の学歴学位等の公表について、外部データベースで公表されていればよいのか。

A:①在学生がいれば対象となる。機関要件の申請の際は、現状に合わせて記載してほしい。特に、実務経験のある教員の授業科目については、基本的には当該年度の開設している授業科目を記載することになるが、募集停止している場合は過去の授業でも該当することとしたいと考えている。②問題ない。

Q:①年度末に行う更新作業は2019年度も発生するのか。②成績分布の資料は1年生の成績が該当するのか。本年度の申請書を提出する7月には、まだ成績はでていない。成績分布も公表することになるのか。

A:①更新は翌年度6月末程度を想定している。②成績分布の該当学年については検討する。成績分布状況に係る資料は公表の対象としない。

Q:大学と短期大学を併設していた場合、法人として機関認定申請を行えばよいのか。

A:機関要件は共通で行う。個人要件における成績評価の確認は短大が半期に一回行うことになる。

Q:①機関要件申請について、「その他納付金」は大学として徴収しない同窓会費などは記載するのか。②支援対象者が数ヶ月の停学を受けた場合半期ごとの授業料はどのように対応するのか。

A:①大学側にゆだねたい。情報提供の観点からは公表することが望ましい。学校教育法施行規則に合わせて記載することになる。整理して情報提供したい。②検討中である。

Q:個人要件にある標準修得単位数について、学部ごとに定めることは可能なのか。

A:一定のルールに沿って対応していきたい。

Q:公立大学への資金の給付について、地方交付税交付金など、どのような財源なのかなのか。

A:来年度予算編成に向けて総務省と協議していきたい。

Q:申請書の公表について、根拠資料も含めて全て公表しなければならないのか。webシラバスなどシステム上での公表以外に対応しなければならないのか。

A:様式2号を根拠資料なしで公表することを検討している。webシステムで公表されていれば良いが、実務経験については一覧表で示してほしい。あるいは、webシラバスで実務経験がわかるようにしてほしい。

Q:学生からの申請は紙面なのか、紙面の場合は統一様式なのか。様式において、JASSOのシミュレーターを確認するような形にしてもよいか。

A:授業減免については各大学で手続きを定めてほしい。統一的な申請様式も検討しているところである。直感的にはJASSOのシミュレーターの使用は妨げられるものではない。11月以降であれば、支援対象となっているのか、本人が分かっていると思う。

Q:現行の減免制度の運用はどのように考えているのか。

A:現行の減免制度との関係について、各大学で基準が定められてきたところである。現行制度と新制度の重複する部分については、同時進行が難しい部分もある。新制度とは異なる観点により、制度を充実させていきたい。

Q:①高専生3年生はどのように対応すればよいか。②高専専攻科はどのように対応すれば良いか。③高専機構は51校それぞれを申請すれば良いか。④本科と専攻科は同じ様式で記載するのか。

A:①現行の給付型奨学金と同様の取り扱いになると思う。②専攻科の入学金も減免の対象になる。③対応を検討するが、51校分提出してもらうことになるかもしれない。④同じ様式で記載することを想定している。

Q:支援の打ち切り要件である「標準修業年限で修了できないことが確定したこと」について、各学年で進級判定がある場合は、留年すれば打ち切りになると理解してよいか。家計状況を勘案することはできないのか。

A:現行では特例を設ける予定はない。

Q:文科省国立大学法人に対して事前審査は行うのか。

A:行う予定である。申請書をメールで提出いただく形式を想定している。

Q:編入学生も免除対象になるのか。その場合、編入前後の学校のどちらで手続きするのか。

A:入学金について1回のみ免除対象となる。授業料は免除対象となる。手続きは、進学後の学校にて手続きを行うことになる。入学料の猶予を連絡してほしい。編入学を予定している者があれば本件についてアナウンスし、進学先の学校での手続きを促してほしい。

Q:外部理事について、申請書上どのように記載すれば良いか。法人種が同じ(前職が他の国立大学法人である事例など)であれば分かりにくい。

A:相談させてほしい。

Q:①入学料の取り扱いについて、入学手続きを12月に行う場合、どのように減免の周知を行えばよいか②現行の授業免除状況調査の予定を教えてほしい。③奨学金の受給を受けている在学生が新制度を適用する場合、返還誓約書の取り扱いを教えてほしい。

A:①検討して連絡したい。②検討中である。概算要求の材料であるため、近々行いたい。③JASSOが検討する。

Q:①打ち切りの報告の期限はいつか。②適格認定について3年次編入学生の取り扱いはどのようにすればよいか。③無期限の停学が解除される場合はどのように対応すればよいか。

A:①現行の給付型奨学金と同様に対応することになると思われる。②入学先の学校種に合わせて対応してほしい。③検討したい。

Q:①支援対象者の適格認定について、短大は年2回の確認が必要であるが、学年暦とスケジュールとの関係をどのように折り合いをつければ良いか。②様式第2号3について学科ごとに作成すればよいか、別の部分で学科おごとに記載していれば全体の状況のみの記載でよいか。③実務経験のある教員による授業の一覧表について、複数の教員で授業を担当する場合はまとめて記載しても良いか。

A:①前期分の成績により測定してほしい。②学生の目線で見やすければ大学側に対応をゆだねたい。③学生に分かれば良い。学内で検討してほしい。

Q:在学申請する場合の選考について、大学で支援区分を決める場合の目安はあるのか。

A:JASSOで確認し、大学へ連絡する方法を検討している。4月当初から大学側に支給を開始することは難しいかもしれないが、なんらか手段を検討する。

Q:①新制度と現行の授業料免除制度は重複して申請できるのか。②編入学生について、入学料の徴収猶予と申請との関係はどのように考えればよいか。③打ち切り要件について、休学せずに留学した場合は打ち切りになるのか。

A:①学内の独自の旧制度との関係は、各大学で整理してほしい。重複している制度は、基本的には無くなるだろうと思われる。趣旨が異なる制度は残るかもしれない。②制度が進めば短大の方で採用になる者も増えて、入学料免除の対象にならない場合も増えてくると思う。③検討する。

Q:①卒業者数等の記載について、学部生のみでよいか。②GPAの対応について何月頃に公表されるか。③支援対象要件について、進学するまでの状況は年齢のみで判断すればよいか。④短期の留学への対応についてどのように考えればよいか。⑤大学で行ってきた減免の基準への対応について、どのように考えればよいか。

A:①学部生のみでよい。②検討中である。③然り。④検討する。⑤調査検討していきたい。

Q:機関認定の成績判定の基準について、旧来の基準にはどのように対応すればよいか。

A:個人判定について、新しい基準で判定いただくことになる。

Q:①入学料減免の手続き・スケジュールは大学の裁量で決められるのか。②JASSOから大学への通知はいつごろ届くのか。

A:①スケジュールを示すことは現時点では考えていないが、国等への交付申請期限は示すことになると思う。現行のスケジュールに沿って対応できるように検討していきたい。②予約申請については、進学先が決まらなければ対応できないだろう。

 

 この修学支援制度については、自分用の整理のため、引き続き記事としていきたいと思っています。

高等教育無償化(負担軽減新制度)は機関認定より運用の方が難しい。

高等教育段階の教育費負担軽減:文部科学省

文部科学省では、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、高等教育段階の教育費負担軽減のための取組みを進めています。

大学無償化法は対象外でも得をする?~専門学校・中間層などが間接影響も(石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース

2019年5月10日、高等教育の無償化に向けた大学等修学支援法、通称・大学無償化法が成立しました。これにより、2020年4月から低所得者層の学生が学費減免と給付型奨学金(返済不要)を受給できます。

 高等教育の無償化に向けた大学等修学支援法が成立しました。ここでは、一定基準の学生に対し、機関認定を受けた学校等で教育を受ける場合には、授業料等減免や給付型奨学金支給などが受けられるようなっています。各大学においても、事前に公表されていた機関要件の確認への対応のポイント案に沿い、かなり短期なスケジュールの下で、機関認定に向け対応していることと思います。改めて確認すると、機関認定を受けることよりも、その後の運用の方が難しいのではないかと思っています。

1.機関認定要件

 大学等における修学の支援に関する法律では、機関認定要件を以下のとおり定めています。

一 大学等の教育の実施体制に関し、大学等が社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

二 大学等の経営基盤に関し、大学等がその経営を継続的かつ安定的に行うために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

三 当該大学等の設置者が、第十五条第一項の規定により確認を取り消された大学等の設置者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その取消しの日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものでないこと。

四 当該大学等の設置者が法人である場合において、その役員のうちに、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反した者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その違反行為をした日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものがないこと。

 これらの具体的な要件については省令で定めらるところですが、機関要件の確認への対応のポイント案では、要件は以下のとおりとなっています。

  1. 実務経験のある教員による授業科目の配置
  2. 外部人材の理事への任命
  3. 厳格な成績管理の実施・公表
  4. 財務・経営情報の開示

 この要件を勤務校ベースで見たとき、意外とハードルは低いなと感じました。中~大規模校ならば、比較的申請書が書きやすいのではないでしょうか。

 1については、

各学校種の設置基準により、卒業に修得が必要となる単位数の1割以上、実務経験のある教員による授業科目が配置され、学生がそれらを履修し得る環境が整っていること

とあり、一見厳しい基準にも思えます。ただ、"授業科目が配置され、学生がそれらを履修し得る環境が整っていること”であり、必修科目である必要はありません。以前聞いた話では、入学から卒業までのあるタイミングで履修可能であればよいとのことでした。

 大学設置基準では、4年制学部の卒業単位数は124単位以上であり、この1割以上は13単位概ね7科目です。学部には多ければ数百と科目があると思いますので、その中でたった7科目と考えると、それほどシビアな基準とは言えないでしょうね。強いて言うならば、シラバスへの対応がネックになるかもしれません。

 3については、通常の教学マネジメントの範囲内にて対応していることも多いと考えます。ただ、後でも述べますが、支援対象者の要件確認において、困難さがあるなと感じています。

 4については、教育活動に係る情報も記載することになっています。自由記述である"FD(ファカルティ・デベロップメント)の状況"や"学生の学修状況に係る参考情報""大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること"などは、どこまで書くべきかという意味でちょっと書きにくいですね。

2.支援対象者要件

 大学等における修学の支援に関する法律では、支援対象者要件を以下のとおり定めています。

(確認大学等の設置者による授業料等の減免)

第八条 確認大学等の設置者は、当該確認大学等に在学する学生等のうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認められるものを授業料等減免対象者として認定し、当該授業料等減免対象者に対して授業料等の減免を行うものとする。

また、同法では、支援対象者の認定の取り消しを以下のとおり定めています。

(認定の取消し等)

第十二条 確認大学等の設置者は、文部科学省令で定めるところにより、当該確認大学等に在学する授業料等減免対象者が偽りその他不正の手段により授業料等減免を受けた又は次の各号のいずれかに該当するに至ったと認めるときは、当該授業料等減免対象者に係る第八条第一項の規定による認定(以下この条において単に「認定」という。)を取り消すことができる。

一 学業成績が著しく不良となったと認められるとき。

二 学生等たるにふさわしくない行為があったと認められるとき。

 特に、認定の取り消し基準について、機関要件の確認への対応のポイント案では以下のとおり記載があります。

支援対象者の要件

・次のいずれかの場合は、直ちに支援を打ち切る。なお、その態様が著しく不良であり、懲戒による退学処分など相応の理由がある場合には支援した額を徴収することができる。

ⅰ 退学・停学の処分を受けた場合

ⅱ 修業年限で卒業できないことが確定したと大学等が判断した場合

ⅲ 修得単位数が標準の5割以下の場合

ⅳ 出席率が5割以下など学習意欲が著しく低いと大学等が判断した場合

・次のいずれかの場合には、大学等が「警告」を行い、それを連続で受けた場合には支援を打ち切る。

ⅰ 修得単位数が標準の6割以下の場合

ⅱ GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合(斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討)

ⅲ 出席率が8割以下など学習意欲が低いと大学等が判断した場合

 大学はこれらの判断ができるように、体制を整備しなければなりません。大きくは、

  • 各自の修得単位数
  • 各自の出席状況
  • 各自のGPAと分布中の位置

を一人一人常に(毎学期?)把握しなければならないでしょう。システムですぐに出せることも多いとは思いますが、個々にそれをモニターする手間はあなどれません。また、学生側もこれらの状況を知りたいでしょう。システム改修などで、これらの状況(特にGPAに関する情報)が容易にモニター・出力できるようにしたいところです。ただ、これらの”出席率”や”GPA”がどのような授業を対象にするのか、いまいち判然としません。この辺りは、来週以降に開催される説明会にて話されることでしょう。

 支援要件としては、”GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合”が学生にとって厳しいと感じます。下位4分の1は常に発生し、かつ、相対評価であるため頑張ったとしてもそれを脱却できるとは限りません。成績評価の異議申し立ても、不可に関する申し立てのみではなく、今まで少なかったであろう成績評価段階に関する申し立ても発生することが想定されます。各大学により支援対象者数も異なるとは思いますが、出席や成績に関する対応を迫られることでしょう。

3.教学マネジメントの一環として対応していきたい

 特に、支援対象者要件は、出席や成績など教育の質保証とも関係しています。負担軽減のためのみではなく、教学マネジメントの一環として対応していきたいと考えているところです。

 余談ですが、

(目的)

第一条 この法律は、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その修学に係る経済的負担を軽減することにより、子どもを安心して生み、育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することを目的とする。

を見て驚きました。

 高等教育の負担軽減は、少子化への対応だったんですね。

総務の規範がまだわからない

 人事異動により、事業系(教職課程・更新講習など)から総務系の担当者になりました。特命業務はいくつかあるものの、調査対応や簡単な人事労務管理など、まだまだ総務の規範は身についていません。大学事務の総務業務に関する先行研究も決して多くなく、ディシプリンが見えにくいという点も概説のしにくさに影響しているのかなと思っています。

 とりあえず、飛び込んできた調査依頼に対して10分で回答原案を作成することを目指しています。

学生をたらいまわしにしないために心がけているたった一つのこと

 用件を聞いて該当部署に送り出す前に、該当部署に電話をかけ、「~~という件で~~という学生がこれから行くのでよろしく」と学生の前で電話をかけます。もし部署が違った場合も、誤った部署に誘導してしまうことを予防できます。